不動産購入者は最低限の登記知識を備えておきたい
不動産購入者に必ず関係してくるのが、不動産登記です。(法人関係では商業登記もあります)
しかし登記というのは独特のルールがあり、素人にはわかりにくいのでそれを助けるために
司法書士がいます。
今回の話題は仮登記という聞き慣れない用語だと思いますが、不動産購入者の方に不動産登記の
恐ろしさを知ってもらうために話題にしました。
仮登記は本登記を覆す効力を持つ危険な登記
仮登記というのは、本登記が出来ない時に順位を保全するために用いられる登記です。
登記というのは順位が大切ですので、仮登記という制度で登記権利者の保護を図っています。
ただし仮登記という名前の通り、申請にあたって本登記ほどの厳格性が求められません。
今回はそれを悪用した事例です。
この事例は、私が住宅金融支援機構(旧・住宅金融公庫)で実際に遭遇した案件です。
住宅金融支援機構はフラットという代表的な住宅ローン商品を提供していますが、
基本的な業務は受託金融機関にお願いし、困難な案件を中心に審査しています。
そして、この事例も受託金融機関では判断出来ないため私が担当しました。
物件の登記事項証明書には様々な登記が載っていますが、金融機関が住宅ローンを融資する場合
債権保全のために抵当権を設定します。
しかし抵当権を設定しても不動産登記のルールでそれが否定される場合は、債権保全が図れない
ことから融資を見送らなければなりません。
そしてこの事例では登記事項証明書を確認すると、既に所有者の死亡を条件とする仮登記が
ついていたのです。
仮にこのまま抵当権を設定して融資しても順位保全の効力から仮登記が優先し、所有者が死亡して
しまうと仮登記を入れた人物に所有権が移転、こちらの抵当権は否定されてしまいます。
当然ながらこの融資は否決しましたが、この仮登記を見落としてしまうと債権を回収できない
危険な所でした。
これにどこまで申請者が関わっていたかはわかりませんが、不動産登記の世界ではこのような
知恵比べの登記が横行しており、見落とすと致命的な損害を被ることもあります。
特にこれらは古い土地や中古物件に多く見られるため、これから不動産を購入しようとする人は
司法書士などの専門家に、登記事項証明書を必ず確認してもらって下さい。
致命的な損害を被ってからでは遅いのです。
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