容積率と前面道路は不可分の関係
日本は国土が狭いため、まだまだ密集市街地が多いのが現状です。
そして住宅を新築する場合、建築基準法による制限があり、特に前面道路が4メートルしかない場合
容積率制限が非常に厳しくなる場合があります。
今回は具体例を交えながら、この問題について考えます。
まず以下のような簡単な事例を考えます。
敷地:100平米
建坪率:60%(建坪率は敷地に建築できる建物の床面積の割合、この場合は60㎡となる)
容積率:200%(容積率は敷地に建築できる延床面積の割合、この場合は200㎡となる)
前面道路:4メートル
ここで、前面道路の制限が無ければ、建坪率が60%ですから1階を60㎡とし、容積率が200%以下に
収まるように考えても60㎡×3=180㎡となり、3階建ての住宅が建てられそうな気がします。
(その他の規制は考慮しません)
しかし、ここで前面道路の容積率制限が引っかかってきます。
前面道路が4メートルしかない場合、容積率が200%×4/10=160%と200%の何れか低い方に
制限されてしまうのです。
今回の場合は、実際の容積率は160%となってしまいます。
そうしますと、さきほどまで建築可能に思えた60㎡の3階建て住宅の容積率は180%となり、
160%を上回るため建築することが出来ません。
現実的な案としては60㎡の2階建て(容積率120%)、あるいは50㎡の3階建て(容積率150%)が
最善策と考えられます。
前面道路が4メートルしかない場合、確かに火事や地震などの災害が起こったとき、
緊急車両がスムーズに通行できない可能性はあります。
しかし、現実には大規模に開発されたニュータウンを除いて、日本の前面道路は4メートルが
主流であり、都市部では大きな敷地を確保できないことを考えると疑問点も残ります。
この基準は、建築基準法が道路の幅を6メートルと定めていることから来るものですが、
肝心の建物が建てられなければ意味がありません。
前面道路4メートルの土地を取得する方は、その後の建築プランなどを専門家としっかり
話し合うようにして下さい。