石井くるみの民泊最前線
不動産投資のトレンドは新築アパートから「ホテル」投資にシフト?
カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。
今回は新宿で新規の営業許可を取得したホテル物件から、不動産投資の新しいトレンドを探ってみます。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=PIXABAY
東京都・新宿区で申請していた、新築・無人運営(フロントなし)施設でホテル営業の許可が交付されました。
最寄り駅は東京メトロ大江戸線/副都心線「東新宿駅」で、徒歩8分の好立地。
2つの路線が使えて東京都内各所にアクセスが可能です。
新宿区の都心において希少性が高い3LDKのファミリーホテルですが、共用部に無人チェックイン機器が設置されているだけで、フロントがないので外観は共同住宅(アパート)と変わりません。
画像=(上)(下)とも筆者
この施設の様な「既存の住宅」をコンバージョンするのではなく、設計の段階から旅館業用途として計画して建築する案件が一般的になってきたと感じます。少子高齢化による住宅需要の減少と、インバウンド増加による宿泊需要の高まりから、不動産投資の選択肢として「賃貸経営」ではなく「宿泊施設の経営」が検討されるようになってきたためと考えられます。
このような選択肢の広がりは、2018年の旅館業法の規制緩和により、従来はフロント設置が必須であったホテルや旅館でも、無人スタイルの運営が認められるようになったことが大きく影響しています。
今回、紹介した施設は、新宿から歌舞伎町の騒がしい喧噪を抜けたあたりにあります。周辺は商業施設と住宅が混在しています(用途地域は第一種住居地域)。
旅館業の営業許可申請上、最も困難だったのは近隣住民との調整でした。
建物がひしめき合う当該エリアにおいて隣接する住宅は古くからの住民が多く、建築工事の段階から様々な要望が上がっていました。施設の運営に関しても、宿泊者は海外からの旅行者が中心となると予想されることから、文化やマナーに関する不安の声があり、弁護士も交えつつ、営業開始前から何度も協議を行いました。
旅館業の営業許可は無事に下りましたが、施設の経営はこれからがスタートです。長期継続的な営業においては近隣との関係性が何よりも重要となるため、住民との共生は本施設のみならず、日本全体の課題と言えるでしょう。
東京五輪が開催を目前に控え、都心のファミリー向けマンション型宿泊施設として集客が期待される本施設が、旅行者、近隣住民に笑顔をもたらす存在になってほしいと願っています。