毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。
今回は、民泊の営業日数のルールについて解説していただきます。(リビンマガジンBiz編集部)

(画像=写真AC)

今年6月に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後、民泊を営業する住宅宿泊事業者(民泊ホスト・オーナー)は都道府県知事等に住宅の届出しなくてはなりません。ほかにも、住宅宿泊仲介業者は観光庁へ、住宅宿泊管理業者は国土交通大臣へそれぞれ登録が必要となります。

住宅宿泊事業法の政省令(案)が公表
法律には「届出」や「登録」の詳細な内容や方法等は記載がありません。国土交通省と厚生労働省は9月21日、政省令案の概要を公表しました。政省令案は行政手続法に則り、10月11日まで意見(パブリックコメント)を募集しています。法律に続き政令・省令案が公表され少しずつ具体的な運用ルールが明らかになってきました。
宿泊日数の報告は2か月ごと
観光庁は、届け出や登録をネット上で申請可能とするシステムを整備・構築する予定です。登録内容には、住宅宿泊事業者の代表者氏名(法人の場合は商号)や施設の名称、住所などがあります。
また、既存の住宅宿泊事業者(民泊ホスト・オーナー)が関心を持つ「宿泊日数」の制限についても、事業者がシステムを通じて報告していく手続きとなりそうです。
住宅宿泊事業法では、宿泊日数の上限が年間180日以下(自治体が条例等で地域ごとにさらに日数制限を加えた場合はその制限まで)とされています。この宿泊日数の算定方法は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とし、正午から翌日の正午までの期間を1日とされる見込みです。
ちなみに初年度は、スタートが6月でした。翌年の4月までを300日と計算すると、稼働率60%の施設は、フル稼働で営業(募集)していることになります。
住宅宿泊事業者は、都道府県知事などに対し、宿泊実績を2カ月ごとに報告する必要があります。
届出の必要書類
届出の際に必要となる書類は下記の通りです。
・住宅の図面、登記事項証明書 
・住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾書 
・住宅が区分所有建物である場合には規約の写し
分譲マンションの一部を賃借して民泊を行う場合は、オーナーからの転貸承諾書だけでなく、マンションの管理規約も併せて提出します。マンションの管理規約で、住宅宿泊事業(民泊)が禁止されているときは、たとえ区分所有者(オーナー)であっても営業できません
規約に住宅宿泊事業に関して特段の定めがない場合は、「管理組合に禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」が必要になります。つまり、管理組合の理事会や総会において、「住宅宿泊事業を禁止することはありませんよね?」と確認し、確認事項を申請書に添付して提出する必要があります。
客室面積
住宅宿泊事業は、居室を複数の宿泊者で共有させることが可能です。 居室の床面積は、「宿泊者一人当たり 3.3 ㎡以上を確保すること」とされており、簡易宿所営業の面積制限と整合性が図られています。
住宅宿泊管理業者・仲介業者に求められる財産的基礎
法律には、住宅宿泊管理業・住宅宿泊仲介業を遂行するために必要と認められる財産的基礎の基準として、2つの要件が求められています。
・負債の合計額が資産の合計額を超えないこと
・支払不能に陥っていないこと 
債務超過の状態では、事業を行っていくことにふさわしくないという内容です。登録要件としては緩やかな基準だと考えられます。
 
営業(宿泊)日数のカウントは事業者(民泊ホスト)の責任
先日、「180日を超えた営業や、無届で民泊を営業した場合、管理業者だけでなく、管理を委託した住宅宿泊事業者(民泊ホスト・オーナー)も処罰を受けるのでしょうか?」との質問を受けました。
そもそも、宿泊日数の報告義務は、住宅宿泊管理業者ではなく、住宅宿泊事業者(民泊ホスト・オーナー)にあります。法令順守は住宅宿泊事業者の義務なのです(法第14条)。これは、届出住宅の管理を委託する場合(家主不在型)も、委託しない場合(家主居住型)も同様です。管理業者に管理を委託した場合でも、宿泊日数の把握には注意が必要です。
公募意見を踏まえ、政省令は10月中にも公布される予定です。さらに続くガイドライン、自治体ごとの条例など、今後も動向に注目していきましょう。
 
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