毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊の最新情報を紹介します。
今回は、「違法建築簡易宿所」が横行する中で、「旅館業許可物件」かどうかを見極めるポイントを解説します。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)


前回の記事では、旅館業の許可は得ているが建築基準法に適合していない、いわゆる「違法建築簡易宿所」についてお話しました。今回は、行政書士の立場から、購入を検討している物件が、「旅館業許可物件」かどうかの見極めポイントをお伝えします(収益的な観点からのアドバイスはまた別の機会に)。

「旅館業許可物件」という言葉の「許可」には、「オーナー(物件所有者)からの転貸(又貸し)の許可」と「旅館業法上の許可」の2つの意味があります。

旅館業の営業には、「建物の使用権原」はもちろん、行政からの「営業許可」の両者が必要です。単にオーナーからの転貸許可を得ているだけで、旅館業法上の営業許可を得ていないものも「許可物件」と言われるケースが多いので注意が必要です

つまり、民泊営業をするには、まずオーナーの許可を取り、その次のステップとして「旅館業法上の営業許可が取得可能かどうか」が重要になります。

住宅や事務所の用途で建築された建物で、旅館業の許可を得て営業開始するには、「住宅・事務所」から「宿泊施設」への用途の変更を行います。

用途変更を行う部分の床面積の合計が100㎡を超える場合は、建築基準法上の用途変更の確認申請手続きを行う必要があります。また、用途変更に伴い工事等が発生する場合は、工事内容やコストを踏まえて事業計画を立てなくてはいけません。

「戸建住宅」の簡易宿所化のポイント
・建物所在地が、ホテル等の建築が可能な、用途地域に含まれることを確かめる
・用途変更の確認申請を要する場合、確認済証及び検査済証の有無を確かめる
・3階建の戸建住宅の場合には耐火建築物であることを確かめ、竪穴区画を設置する
・東京都や一部の地域に所在する建物の場合は、窓先空地※が確保されていることを確かめる
・屋内階段の寸法(階段幅、蹴上、踏面)が法令に適合することを確かめる
・延べ面積200㎡以上の場合は、廊下の幅が法令に適合することを確かめる
・火気使用室等の内装仕上げが法令に適合することを確かめる
※窓先空地:火災時の避難経路の確保を目的とした空地。共同住宅の1階の窓に外の敷地に幅員数mの空地を設ける。


「許可物件」の見極めは、書類の有無がポイント


100㎡を超える物件で、用途変更手続きを視野に入れる場合は、新築当時に適法に建築されたことを証明する「検査済証」の有無を確認することがポイントです。

すでに宿泊施設への用途変更手続きが済んでいる物件を購入する場合は、用途変更にかかる建築工事が完了したときに提出する「工事完了届」の有無を確認しましょう。

適法に用途変更がなされている物件は、それを証する資料で確認可能です。

物件選定がもっとも難しいのは、100㎡を越えない規模の建物の場合です。建築士等の専門家と相談し、その他の建築基準法令への適合を確かめることが大切です。

 
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