結婚し、自分たちの終の棲家を決めて毎日の生活を慌しく過ごすうちにも、時間は着々とすぎていき、両親の今後も考えなければならなくなります。
高齢になれば、お友達もだんだん入院されたり、亡くなってしまったりして、住み慣れた場所に住んでいても心寂しさや不安も大きくなる両親を、安易に「じゃあこっちくる?」と呼ぶことにしたら、ご両親はものすごく悩まれることでしょう。
自分の余生を子供のそばで過ごすか、動けなくなるまで自分の地元で過ごすか、大きな決定には違いありません。
私の両親も田舎の200坪もある敷地に昔経営していた会社と自宅が2軒建っており、売却を考えていたことがありました。「都会に出て中古のマンションに住み替えしたら良いだろう?」とぐるぐる物件を見ていくうち、最初は楽しそうに調べていた物件も結局売ることも買うことも諦めてしまいました。
理由はメンタル問題です。
人生の3大ストレスの1つといわれている引越しを、この年で経験するのはハードルが高すぎるということ。土地勘もなく、食文化も違う土地に、娘頼りに住み替えるのはいやだというのです。
確かに、その場に越した後の病院やスーパー、お友達作りの場がこんな場所があるなど、情報をもっと調べてあげればよかったと後悔しましたが、いくら情報があったからと言って、決断できたかと言うと、結局売却に踏み込まなかったのではないかと思います。現在、事務所として使っていた建屋は、ネット販売をしている会社の倉庫として活用されており、自宅もそのうち貸そうかと考えているようです。
両親にとってこの自宅の売却騒動は様々な可能性を探るのに必要な時間だったといえます。結果的に不動産を活用できる手段も手に入れて、元気なうちは自分たちの住み慣れた土地で過ごすことを決断できた訳ですから。更地であれば、このままアパート活用などにも踏み込めたかもしれません。両親の不安はなるべく受け止めてあげましょう。両親へのメンタルケアが良い結果を生むのは間違いありません。