前回は、海外在住の人が日本国内の不動産売却を考えている場合について書きました。その中で「代理人を立てる場合」について触れましたが、海外移住以外でも遠方に住んでいたり、仕事などで時間が取れない場合に、代理人を立てて不動産売却の手続きを行うことがあります。そして、ご自身が代理人となる必要が出てくる場合もあるかもしれません。

代理人を立てるケースとは?

ご自身が代理人として不動産売却の契約などに立ち会うケースとしては、売主が海外在住であったり、遠隔地に住んでいる場合の他に、次のようなことが考えられます。
・親が亡くなり、土地建物を相続した子が不動産売却をしたい場合
・親に認知症などの事情があり、親自身が売却手続きを行えない場合
・不動産の持ち主が病気療養中などの事情で手続きを行えない場合
・未成年者との取引で、親権者や法定代理人が不動産売却の代理人となる場合

 
親から相続した不動産が親名義ではなかったら?

親から相続した不動産を売却する場合、一般的には次の流れが考えられます。
・相続人全員で遺産分割協議を行って協議を成立させ、ご自身の所有となった不動産を売却する
・遺産分割協議が成立する前に、相続人全員を売主として売却を行う
 
注意が必要なのは、親から相続したことは間違いなくても、親が祖父母などから相続した際に所有権移転登記が行われていなかった場合などです。この場合、買主側が警戒することもありますので、なぜそのような事態になったのかを説明できるよう、書類などを揃えておく必要があります。

成年後見人として被後見人の資産を処分したい場合

成年後見人は、被後見人の居住用不動産を処分することができますが、家庭裁判所の許可を得る必要があります。さらに、後見監督人が選任されているときは、後見監督人の同意を得る必要があります。
この場合の「処分」には、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定の他、贈与や建物の取り壊しなどが含まれると考えられます。
なお、被後見人の不動産を「管理する」、つまり固定資産税を払ったり、借家の場合に賃料を支払うなどの行為は、処分とは異なり家庭裁判所の許可などは必要ありません。
 ご自身の不動産を売却するときだけではなく、相続や親の病気などの理由で、代理人や成年後見人として、不動産売却の契約に立ち会わなければならない場合も、考えられます。イザという時がきてから、はじめて慌てるのではなく「このような場合があり得る」と意識しておくだけで、イザという時に落ち着いて行動できるようになるでしょう。
 
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