難しくない戸建て仲介のポイント
戸建て仲介のコツやノウハウを習得すれば、新しいビジネスを生み出す強い味方になります。ファイナンシャル・プランナーでもある 西山ライフデザイン 西山広高代表に戸建て仲介に関するノウハウを解説していただきます。
今回は、不動産購入検討者に納得してもらうための出口戦略の考え方を紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
マイホームを購入するときに、将来手放すときのことを考える人は少ないでしょう。日本ではバブルがはじけるまで、不動産は上がり続けるものであるという、いわゆる「土地神話」がありました。価値が上がり続けるならば、何も考える必要はありません。しかし、バブル景気とともに、神話も崩壊していることはご承知のとおりです。
それでも自身が不動産を購入するとき将来の資産価値を考えて購入する人はあまりいません。せめて、不動産業者としては不動産の将来について意識しておくべきでしょう。
不動産の資産価値は何に影響を受けるのか
3/26の日経新聞の一面に「マンション75% 修繕積立金に不安 国の目安届かず 高齢化で増額難しく」という記事が掲載されました。マンションの修繕工事のための財源、修繕積立金が不足する懸念が強まっていることが問題になっています。
これからの住宅購入を考えるお客様にとって「資産価値に着目した物件選び」が重要であることはこれまでにも書いてきました。
資産価値が維持されるためには、
・周辺環境
・物件の質
の両方が良好に保たれることが重要です。
資産価値が下がってしまうと、
・将来売却しようとした時に期待する値段が付かない
・不動産を担保に融資を受ける際の担保評価が下がる
といった問題が起きると考えられます。
マイホームを購入する人が考えること
マイホームを購入するお客様は、ずっとそこに住み続けることを想定している人が少なくありません。しかし、人生100年時代と言われるようになったこの世の中、仮に40歳でマイホームを購入したとして、その後50年、60年そこに必ず住み続けると言い切れるでしょうか。
その間には家族構成、働き方、健康状態などが変わったり、建物が老朽化したりして購入時には想定していなかった買い替えや建て替えを検討しなければならなくなる可能性があります。
そうなった時、選択肢の数がたくさんあるほうが良い物件、資産価値の高い物件であるといえます。不動産価値が保たれているほうが選択肢は多くなることは容易に想像できます。
あるお客様の例
先日、弊社に「結婚を機にマイホームの購入を考えている」という30代前半のお客様が相談にいらっしゃいました。45㎡2DKの新築マンションで気に入った物件があるとのこと。そのお客様にはほとんど頭金になる貯蓄はなく、必要資金のほぼすべてを住宅ローンによる借り入れで考えていました。
これからご結婚されるお二人に、私から「お子様はご予定されていますか」とお伺いしたところ、「できれば二人くらい」というお答えでした。もし、すぐにこのお二人が子宝を授かったとすれば、早ければ5年後、遅くとも10年後には2DKでは手狭になってしまう可能性が高いでしょう。二人のお子さんの性別が違えば子供部屋が2つ必要になるかもしれません。
いろいろお話しした結果、そのお客様は今回の購入を見送り、頭金を貯めながらじっくり考えることになりました。
このお客様は数年以内に再び購入をお考えになると思います。会社からの家賃補助が受けられる間に頭金を蓄え、その間にお子様が生まれれば、家族全員が安心して長い間住み続けられる物件を探されるでしょう。
結婚されてから10年程度の間はその先の家族の形がまだまだ未確定です。そのご夫婦が今後どのような家庭を形成していくのかはご本人たちにもわかりません。
ましてや50年、60年先のことなど全く分からないでしょう。
だからこそ、不確定要素があることを前提に資産価値の下がりにくい物件を選ぶ必要があります。