難しくない戸建て仲介のポイント

戸建て仲介のコツやノウハウを習得すれば、新しいビジネスを生み出す強い味方になります。ファイナンシャル・プランナーでもある 西山ライフデザイン 西山広高代表に戸建て仲介に関するノウハウを解説していただきます。

「戸建仲介よりマンション仲介の方が簡単である」と思っている人は多いかもしれません。しかし本当でしょうか?(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)

一般的に「マンション仲介のほうが戸建てより簡単にできる」と考えている不動産業者は多いと思います。

確かに、マンション取引の場合は敷地や建物、道路やインフラの調査などの点では、戸建ての調査をする手間が少ないといえます。売り主が持っている購入時の資料を確認すれば面積などが記載されており、その通りに重要事項説明書、契約書に記載すれば、原則として間違うことはありません。こうした点をもって、「マンション仲介のほうが戸建てよりも楽にできる」と考えるのは無理もないかもしれませんね。

しかし、本当にそうでしょうか。マンション仲介特有の気をつけなければならないことがあるのではないでしょうか。

実はあるのです。

そもそもマンション売買は建物の一部屋だけ、つまり一部分だけを売り買いする取引です。実は、契約に至るまでの間にチェックしておかなければいけない重要な項目があります。その確認が不十分であれば、後に購入者のクレームや不満につながります。
では、それはどのようなことでしょうか。

マンション仲介は管理組合に関する情報収集が必須


当然ですが、マンションは同じ建物の中にほかの居住者が同居していることになります。同じマンションに住む人たちは「共同して建物の維持管理を適切に行わなければならない」ことになります。

これは区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)によって定められています。マンションでは管理組合を組成し、そこに住む人たちの中から理事などの役職を選任することになります。多くのマンションでは「輪番制」にしているようですが、それ以外のケースもあります。
つまりマンションを購入する=組合に参加するということです。

しかしながら、中古マンションの購入者には、そのマンションにどのような人たちが住んでいるのかを知る手段はほとんどありません。不動産業者からの情報以外からはなかなか知ることができません。なかには住民や管理組合、管理人の情報をブログなどで発信しているマンションもありますが少数です。

購入者のために、管理組合の情報を徹底して調べる必要があります。

その管理組合で「今どんなことが話し合われているのか」は管理組合の議事録で確認できます。「住んでいる人はどんな人たちなのか」も知ることができるでしょう。管理組合の財政や、修繕積立金の状況、滞納があるのか、あるとすればどの程度なのかもしっかりと調べなければいけません。
マンションの取引をするときには不動産仲介業者として「重要事項に係る調査報告書」は当然、取得する資料ではあります。しかし、それらの資料がそろっていれば良いというわけではないのです。


(画像=写真AC)

戸建てであれば、こうした問題は少なくて済みます。ご近所の状態などを収集すれば、おおまかな人間関係は把握できます。マンションと違い、外観などからもご近所さんの生活実態を把握できるはずです。

最近は「空き家」の問題が大きく取り沙汰されるようになってきました。空き家に関しても、戸建てであれば、外観からも判別しやすいのですが、マンションの場合にはなかなか外からではわかりません。空き家が増えれば管理費や修繕積立金の滞納、管理組合の財政悪化なども懸念され、ひいてはマンションそのものの資産価値も下げてしまいます。

また、最近では特に都心部の高額なマンションで投資用(賃貸用)に購入する人が増えています。また、投資用に購入する人には外国人も少なくありません。外国人の購入者の中には、自国の文化でそもそも管理費や修繕積立金を支払う風習がない国もあると聞きます。このような物件は入居者がいるうちは良いのですが、空き家が増えると管理費や修繕積立金が滞納されることもあり得ます。

将来のことはわかりませんが、少なくとも現在の状況については管理会社の報告書に目を通し、不健全な状態であれば、疑わなければいけません。
以上のことから、マンション仲介が簡単だというのは単なる俗説であると考えています。実態は非常に繊細で大変な取引だといえるでしょう。

まとめ


「マンションは管理を買え」と言われます。しかし、管理の調査は実態把握が難しく、往々にして予想外のことが起きがちです。マイホームは購入する人にとって非常に大きな買い物。仲介手数料も購入者にとっては決して安いものではありません。仲介業者として戸建ての仲介はもちろんですが、マンションの仲介も軽く見ていると痛い目に合うこともあります。

マンション仲介は戸建てよりも簡単という思い込みは捨てるべきでしょう。

 
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