米国のトランプ新大統領の政策は「アメリカファースト」の一言に集約されます。その考え方に基づく大統領の日本への要請(強制)が不動産価格に及ぼす影響として、以下の点が挙げられます。
(マイナス要因)
1.円高による外国人投資家の減少
トランプ大統領は、国内の製造業を活性化して雇用を増やす政策を掲げています。外国為替相場についてはドル安(円高)を推進しています。円高が進行すれば外貨ベースでの不動産購入額は増加するため、外国人投資家の動きが鈍る可能性が高まります。
2.金利上昇による住宅購入者の減少
通常、円高が進行すれば短期金利も上昇します。金融機関が国際決済通貨(ドル、ユーロ、円など)の中で相対的に金利の高い通貨の運用比率を高めるからです。短期金利が上昇すれば住宅ローン金利も上がり、居住者の住宅投資の冷え込みにつながります。
3.輸出縮小によるGDPの減少
円高は日本製品の外貨建て価格を上昇させるため、日本企業の輸出競争力を低下させます。その結果、GDPが減少してサラリーマンの給与も減少・伸び悩み状態となり、不動産購入をためらう人が増えると考えられます。
(プラス要因)
1.離米外国人の増加による住宅需要の増加
トランプ大統領の政策には、米国の民主党支持者だけでなく世界中の多くの人が反対しています。そうした半トランプ派の外国人が中立的な日本へ流入してくるシナリオも考えられます。定住外国人は法律改正が行われない限り簡単に増加しませんが、留学生とか企業の駐在員とかは一気に増える可能性があります。
2.農産物価格の低下による農地の宅地化促進
トランプ大統領は、米国の主力産品である農産物の輸出にも力を入れると考えられます。その結果として、日本では農地の売却やアパート・マンション用地への転換を進める農家が増えるかもしれません。
現時点ではトランプ大統領の政策は日本の不動産市場にとってプラスになることより、マイナスの影響を及ぼすことが多いとみられます。急激な円高と金利上昇が起こるリスクを念頭に置くことが重要です。