橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」
社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
昨年12月から始まった「使える空き家ビジネスのススメ」の連載も今回で最終回となりました。
空き家問題の現状から将来予測、空き家活用の方法、事例の紹介など、なるべく広く網羅し理解を深めていただくよう心がけましたが、いかがでしたでしょうか。
今後「空き家ビジネス」は成長していくのでしょうか。
これから空き家ビジネスに進出しようとする方、すでに取り組んでいる空き家ビジネスを発展させたいと考える方には気になるところだと思います。
私の答えは、当然YESです。
市場は新築住宅からストックビジネスへ
今、国の住宅政策は、間違いなく新築住宅から既存住宅の活用へと転換しています。
2016年策定の「新住生活基本計画」では住宅ストックビジネスとして、中古住宅流通市場とリフォーム市場の規模を2025年までに20兆円規模まで拡大させる、という目標を打ち出しました。
一方で、国内の新築住宅市場は今後、縮小が進むと予測されています。
1980年代後半に160万戸台だった新築住宅着工戸数も直近の10年間では80~90万戸台まで減少しており、更に2030年には約60万戸まで減少すると予測されています(野村総合研究所「2030年の住宅市場と課題」2018年6月)。
つまり、新築住宅着工戸数はわずか12年後の2030年には1980年代後半のなんと4割未満に、現在の着工戸数と比較しても7割未満になってしまうということですから、今後新築住宅市場においては企業の生き残りをかけた競争が激化すると考えられます。
将来縮小が確実視されている新築住宅のみに固執するのではなく、これから拡大が予測される中古住宅、リフォーム等空き家の利活用に直結するビジネスに活路を求めることは必然といえます。
空き家問題は解決するのか?
残念ながら、今後住宅の空き家問題は、自治体や民間レベルの努力だけでは解決は難しいでしょう。
この問題の一番の原因は人口減少だからです。
自治体や民間が地域の空き家問題の解決を図っても、日本全体の人口減少が続く限り、他エリアとの住民の奪い合いになるだけで、どこかの空き家が活用されれば、どこかで空き家が増えるといったマイナス・サムゲームは続きます。
人口減少に歯止めをかけ、増加に転じさせるためにはいくつかのキーワードがあります。
・地方創生
・子育て支援
・移民政策
・高齢者の活用による労働人口の確保
これらを推し進めるには、国の強力な政策の実行が必要となります。
しかし個々のお客様のレベルでは解決できることもたくさんあります。
プロとしてお客様に寄り添いながら解決策を探ることが、最終的にビジネスにも繋がることになります。
>>2ページ目:空き家をビジネスには、常に最新の情報を知ることが重要(続き)