橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」

社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)

空き家の活用を検討する際、所有者から「まだ新しくきれいなのでそのまま使える」「今まで大切に住んできた家を壊してしまうのは忍びない」「解体費が高いので壊せない」などと相談されることがあります。

建物を建替えずに貸すという選択は、所有者の意向によることが多いと言われています。

(画像=写真AC)

空き家のメリット・デメリット(リスク)

空き家を建替えないで貸す場合、所有者にとっては以下のようなメリットがあります。

①建替えと比べて投資コストが少なくて済む

②愛着のある建物を残せる(心の問題)

将来の自己使用の可能性が残せる(子や孫が使うことも含める)

④建物が使えなくなっても土地が残せる

反対に、一般的なデメリット(リスク)としては以下のことが考えられます。

①入居不安

いざ入居者を募集しても、入居者がいないのではないかという不安。

②リフォーム費用がかかる

一般的に空き家は築年数が古く劣化も進んでいるため、賃貸できる状態にするためにリフォームが必要。

場合によっては耐震診断、耐震リフォームも必要になる。(昭和56年5月以前に建築許可を受けた建物はとくに注意)

そのためリフォーム費用が過大になると、費用回収に時間がかかり賃貸のメリットが無くなる。

③賃貸トラブルへの対応

苦情への対応。滞納、事故、事件などアクシデントの発生。

④建物の耐用年数が短い

その後の活用についても再検討が必要な時期が来てしまう。

⑤心の問題

そもそも他人を愛着のある家に住まわせたくないという気持ちがある。

これらのメリットとデメリット(リスク)を十分に理解した上で、上手に対策も行いながら活用に臨むことが重要です。

活用の種類

空き家を建替えないで活用する場合にも、さまざまな種類があります。

①一戸建て貸家

②シェアハウス

③民泊

④福祉施設(グループホームなど)

⑤非住宅

それぞれのケースについて解説します。

①一戸建て貸家

現況、そのまま入居者に賃貸します。外装、内装の傷みや設備の老朽化が著しい場合はリフォームにより貸せる状態にしてから賃貸するのが一般的です。

しかし最近は、建物オーナーはリフォームを行わずに入居者に現状のまま賃貸し、リフォームは入居者が行う「DIY賃貸」も増えてきました。建物オーナーはリフォーム費用の負担がなく、入居者は割安な賃料で入居できる上に自分好みのリフォームができるので、双方にメリットがあります。

多くは住宅の間取りに合った家族構成の世帯で、比較的長く住みたい入居者が入居することになります。

②シェアハウス

最近何かと話題のシェアハウスですが、間数の多い一戸建てなどの場合は、間取りを活かしてシェアハウスとして活用できる可能性があります。

一戸建ては、元々共用スペースであるリビングダイニングキッチンがあり、便所も複数あることが多く、シェアハウスに転換しやすい間取りと言えます。

シェアハウスのニーズが高い立地であれば、戸建て貸家と比較して高い収益が期待できます。

③民泊

最近の外国人観光客の激増に加え、2019年ラグビーワールドカップ、2020年オリンピックを控え、益々需要が高まることが予測されているのが民泊です。

空き家を民泊で活用するケースも増加すると見込まれています。

民泊には次の3つの形態があります。

・民泊特区における民泊

・旅館業法の簡易宿泊所としての民泊

・住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)による民泊

民泊にはさまざまな規制があり、また形態によっては年間営業日が180日以内に制限されるなど、どの形態かによって収益が大きく左右されますが、立地によっては検討する価値は十分にあります。

>>2ページ目:まだある!空き家活用の選択肢(続き)

 
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