収入印紙代は契約書1枚ごとに必要

そもそも収入印紙とは何なのかというと、印紙税という税金を支払うためのものです。印紙税法(平成28年5月現在)は、経済活動をうち20種類を定めて、その活動を証する文書への収入印紙の貼付によって課税しています。身近な例では5万円以上の飲食店の領収証も対象になっており、200円の印紙を貼ってあるのをよく見かけます。不動産売買契約では金額1000万超5000万以下は2万円、5000万超1億以下は6万円、1億超5億円以下は10万円が必要となっています。文書に対して課税されるので、不動産売買契約の場合、売主用と買主用に1枚ずつ契約書を作成したら、それぞれに印紙の貼付が必要となり、通常はその2つの契約書について各自が負担して印紙の貼付をします。但し売主は契約書の写し(コピー)だけを受け取るなどの場合には、印紙税は1枚分となり、売主側は負担を免れるということもあります。

原本を保有する買主が負担することが多い

契約書の原本を1通だけしか作成しないなら、それはお金を払った契約の証として買主が所有することがほとんどでしょうから、印紙代も買主が負担する場合が多いです。売買契約の後に売った人がその売却を証明するために原本を必要とすることは、まずありません。買主のほうは、取引金額や所有の正当性を示すため、必要となるケースが多くありえます。必要とする当事者がその費用を負担するのが経済活動の基本ですから、買主が負担することは理にかなっています。

いずれにせよ契約そのものは成立する

仮に、何らかの理由で話がこじれて、印紙を貼ることなく契約書を完成させてしまった場合、契約自体が無効になるのでしょうか。実はそんなことはありません。収入印紙の有無は不動産契約自体とは関係ありません。もし印紙が貼られていなかったとしても、契約自体は有効です。単に印紙税の支払い義務を果たしていないだけです。そして、支払い義務は契約書の原本を必要とする買主側にあると契約内に明記されている場合には、もし将来的に不都合が発生したとしても、売主側に累が及ぶことは考えづらいでしょう。よって、例えば契約後に折半の要求をされたとしても断ることはできると考えられます。しかし、円滑な取引のためにいくばくか負担してあげることも必要でしょう。

 
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