中古住宅と厳密な線引きはない

古家付き土地と聞くと解体費用が発生すると思ってしまいますが、必ずしもそうではありません。実際に見てみると、まだまだ住める状態の家屋であることも多いものです。実は「古家付き土地」については不動産広告における明確な定義・区分はありません。不動産の広告表記ルールでは「土地」か「中古一戸建」しか区分がなく、古家付き物件はあくまで「土地」であり、条件欄に「古家あり」と書かれているはずです。家屋がある、すなわち更地ではない物件を中古一戸建と表記するか土地(条件欄に古家あり)と表記するかは、不動産業者次第なのです。

居住可能ならは掘り出し物の可能性も

不動産業者は、どちらのほうが顧客に受け入れられやすいかで、表記を判断します。建物が価値あるように見えるなら、中古一戸建としますし、この建物にお金を出すのは嫌だなと思われそうなら土地(古家あり)とします。土地(古家あり)になっていても、自分の目で見てみて居住に十分耐えられそうだと思えれば、そのまま買ってしまうのもありでしょう。基本的に土地の値段だけで家屋ごと手に入るのですから、手直しに多少の費用は掛かったとしても、メリットのある買い物になりえます。

やはり廃屋としかいえない場合は

どう見ても住める状態でないならば、解体して新たに家屋を建てることになります(実際にはこのケースのほうが多い)。一見、居住可能なように見えても柱が腐っている、雨漏りがひどいなど、結局は建て替えを余儀なくされることもよくあるので、慎重な見極めが必要です。解体費用込みで土地の金額を評価することになりますが、それでもなお有利となるケースが最近では目につくようになってきました。その背景には、いわゆる空き家問題があります。

空き家を手放したい売主の意向も

少し前までの制度ではたとえ古家でも建物さえ建っていれば、土地の固定資産税は更地の1/3から1/6になりました。となれば、土地の所有者はできるだけ更地にはしたくないわけで、廃屋と化した空き家が放置される要因となっていました。そこで2015年5月「空家等対策特別措置法」が施行され、周辺環境に悪影響をもたらす恐れのある空き家には是正勧告が出され、勧告に従わない場合は更地と同じ固定資産税が課されるようになりました。これが理由で空き家ごと売りに出している(何としても土地や建物を手放したい)所有者は、それほど強気の価格設定をしないため、お買い得物件になることも多くなります。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ