<h2>最低でも3600万円以下なら「非課税」</h2>
<p>平成25年1月の法改正により、相続税の基礎控除すなわち非課税となる限度額は「3000万円 + 600万円 x 法定相続人数」と定められました。つまり、夫婦のみ、または親一人子一人など、法定相続人が一人だけの場合で3600万円となり、遺す資産額がこれ以下ならば課税されることはありません。以降、基礎控除額は、例えば配偶者+子一人・配偶者なし子二人など計2人の場合で4200万円、配偶者+子二人など計3人の場合で4800万円となっていきます。なお、子(ないし親)が1人でも居る場合には、兄弟姉妹が法定相続人になることはありません。また、孫などは通常、法定相続人にはなりません。これは相続税を計算する際に根拠となる人数としてカウントされることはないという意味で、遺言により遺贈することはできますので確認しておきましょう。</p>
<h2>財産とは不動産、現金、借金などの総計</h2>
<p>例えば時価評価額1億円の不動産を所有していたとしても、借金が7000万円あれば、資産総額は3000万円となります。すなわち相続税の課税対象ではなくなります。あるいは配偶者+子が2人いて、借金が5200万円あれば、資産総額は4800万円となり、相続税は非課税となります。一般的に社会人の大半は資産を増やそうと尽力するものでしょうが、相続を考慮するようなライフステージに差し掛かれば、見た目だけでも財産をどのように目減りさせるか、という視点も重要になってきます。これは浪費をお勧めしているわけではありません。名義上「あなたのもの」となっている資産の金額を、少なく抑える工夫をすることが望ましいということです。</p>
<h2>生前に配偶者や子の名義にしておく</h2>
<p>1億円の資産を持っていても、相続が発生する(すなわちお亡くなりになる)前にたとえば女房や子供に名義を変更してしまえば計算上、あなたの資産は0円となり、相続税の心配はなくなります。しかし無計画に生前贈与したのでは、今度は贈与税がかかってきてしまい、節税効果が薄れてしまうどころか、逆効果にもなりかねません。そこで優遇が受けられる制度などを利用することが望まれます。例えば子に贈与するなら、子が家を買うタイミングで「住宅取得等資金贈与の特例」を利用する、あるいは親が65才以上かつ子が20才以上なら「相続時精算課税」を選択する、などの方法があります(平成29年2月現在利用できる制度)。ただしこれらの法制度はほとんど期限があり、また頻繁に変更されるため、よく注意することが必要です。</p>
<h2>配偶者について多くを考える必要はない</h2>
<p>婚姻後に夫婦で形成した財産は共同で築いた財産とみなされるのが原則ですが、不動産の贈与については夫婦間でも贈与税の対象になります。しかし、例えば「婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除が受けられる特例」など、配偶者のみを対象にする制度も設けられています。最たるものは相続税そのもので、法定相続分(子がいる場合で遺産総額の1/2)以内であれば、配偶者はどれほど巨額の資産を相続しても課税されません。つまり、相続対策とは基本的に、配偶者以外への遺産相続について考える性格のものと言ってよいでしょう。</p>

 
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