バブル期には、多くの会社が社員寮を建設したものです。男女別れた独身寮もあれば、家族で住める社員寮もあって、そのようにして遠方からも雇用したり、社内事情で異動を命じたりしていたのでしょう。ただ、お気づきのように全国各地でその様な社員寮に空きが出たり、既に使われていなかったりしています。会社がその土地を所有しているのでしたら問題ありませんが、個人が、賃料をもらって所有している場合には、寮として使わなくなった後のことが心配ですよね。

全国に結構の割合で例がある、有料老人ホームへの転換


例えば独身寮は、一つ一つの部屋がそんなに大きくありません。ワンルームないし部屋が2つで、最低限の料理が出来るキッチンがあり、中にはバスやトイレが部屋についている寮もありますが、少し古い寮になるとこれらが共有となっている場合があります。有料老人ホームの建築基準として、一つの部屋は18平米以上、バスやトイレは共同でも良いというものがありますが、大体の独身寮が部屋の広さはクリアしています。ですから、大きな改修を必要とせずに有料老人ホームへ転換が可能なのです。ただ、車いすがすれ違えるだけの十分な広さの廊下の幅とか、車いすが通れる入り口の広さ、また平屋ではない場合にはエレベーター設備の設置などの基準はクリアしなければならないため、多少の改修は必要となります。しかし、大規模ではないため、初期投資を行ったとしても賃料収入で十分まかなえる可能性があるのです。

国交省が推し進めているサービス付き高齢者住宅も後押し


有料老人ホームの管轄は、老人福祉法のために厚生労働省となりますが、今、国交省が推し進めているのがサービス付き高齢者住宅です。これは、日中は生活相談が出来る相談員が常駐しなければなりませんが、実際の介護は訪問介護ステーションや訪問看護ステーションなどと連携して提供されるものであり、有料老人ホームのように入居時の契約金が不要であったり、月々の賃料も安価であったりと、介護が必要となった高齢者でも比較的入居しやすいのが特徴です。まさに、社員寮を転換するのにうってつけだといえるでしょう。ただ、地域の中に、どれほど介護が必要な高齢者が居るのか、また今は居なくても今後その見込みがあるのかなどは、行政に行って下調べをしておいた方が賢明です。

 
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