地下鉄駅前徒歩3分、周辺環境充実、専有面積60m2超、3LDK。中層階、管理人は日勤、オートロックシステム採用、24時間遠隔管理のセキュリティシステムなど防犯性も十分。築7年で1500万円。けっして条件は悪くないと思ったの中古マンションだが、売却は難航した。

売りにくい理由はいくつかあった。


■リビングが南向きでない

日中働いている人なら、南向きにこだわる必要はないと思うが、やはり「南向きじゃなきゃ」という南向き信者は多い。そのマンションのリビングは西向きだったが、日当たりは悪くなかった。午前中も十分に明るく、午後は直接の光が入り日照時間は長かった。寝室は東向きに配置されているので、朝はまぶしい光で目覚めることができた。

オープンハウスの来訪者からは「明るい」と喜ばれたが、西向きというだけで購入対象外になったケースもあったはずだ。


■目の前にパーキングビル

購入当初、リビングの窓からは地下鉄駅の駅ビルが見えた。まだ新しく壁面のデザインがオシャレな地下鉄駅を目の前に、その先に青空が広がる開放的な風景を見る度にプチ幸せな気分になったものだ。

ところが、1年も経たないうちに、マンションと地下鉄駅の間にパーキングビルが建設され、窓からの景色が楽しめなくなった。駅前エリアで用途地域は商業地域、その空き地にいずれビルが建つのは当然だったかもしれないが、当時の私はそこまで考えていなかった。パーキングビルの出入口がマンションの目の前で、交通量が増えたのも安全面でデメリットだろう。

駅近の便利な場所でも、リビング、バルコニーの先に広がる景色は大事だ。目の前にビルがなかったら、印象はかなり違ったのではないだろうか。



■部屋が狭いが部屋数が多い

専有面積約60㎡、リビング・ダイニングと洋室2室、和室1室の3LDKだ。

購入当時は部屋数が多い方が「いざという時、売りやすい」と言われた。夫婦2人暮らし、子どもが1人~2人いる家族4人など、ターゲットが広がるからだ。

しかし約60㎡60を3LDKに区切ると、1部屋がどうしても狭く、ベッドや家具を置くと周囲に余裕のスペースができない。

立地からいってシングル・DINKS向けの物件だけに部屋数より1部屋の広さを重視する人が多かったかもしれない。


■煙草の煙で壁が黄色に変色

今でこそ煙草はやめたが、以前のマンションに住んでいた当時はスモーカーだった。部屋の査定に来た不動産会社の担当者から「煙草吸いますか?」と聞かれたぐらい、壁の色が黄色に変色していたのだ。私自身、禁煙したとたん煙草の匂いが苦手になったように、煙草で変色した壁紙を貼り替えたりハウスクリーニングを行なっても煙草の匂いを敏感に感じる人は多い。嫌煙家にとっては、煙草の匂いのする部屋は避けたいところだろう。



■飼い猫のつめとぎで柱が修復不可能に

ペット可マンションだからペットを飼うのは何の問題もなし。それでも、子猫時代は、カーテンに上ったり、ソファで爪をといだり。当時は外出時間が長く留守番のストレスもたまっていたのか、これみよがしに同じ場所で爪とぎをしていた。最も無残だったのは、ガリガリと爪をといで大きく凹んだ和室の柱だった。

不動産会社の担当者には「これはよほど猫が好きな人じゃないと引かれます、買い手がつきませんよ」と何度もチクチク言われて、最大の弱点になった。柱だけに部分的な補修もできず、物件価格を値引きする要因になったのは言うまでもない。

以上のような「売りにくい」原因や要素があれば、最初の価格設定が低くなり、また「値引き交渉」の理由になりかねない。「売りにくい」要素が他の方法でカバーできるか、逆手にとりメリットに変えることができないか、不動産会社に相談してみるといいだろう。

 
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