賃貸マンション約7割で宅配ボックス未設置。置き配普及に課題

「置き配」需要の高まりを受け、国土交通省が標準化を検討する中、LIFULL(東京都千代田区)が運営する不動産情報サービス「LIFULL HOME’S」が、掲載物件を対象に2025年6月時点で宅配ボックスとオートロックの設置状況を調査した。

画像=プレスリリースより
同調査によると宅配ボックスの設置率は33.7%にとどまり、約3軒に1軒でしか設置されていない現状が明らかになった。一方、オートロックについては47.6%の物件で設置されており、約半数の物件が導入している。しかし、宅配ボックスが未設置でオートロックが設置されている物件は19.5%に達し、約2割の物件では配達員が玄関前まで行くことができず、置き配が困難な状況にある。

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築年数別の分析では、宅配ボックスの設置率に大きな差が見られた。築11~15年の物件では48.4%、築16~20年では49.9%と約半数が未設置となっている。築21~25年では58.5%、築30年超では90.0%が未設置となり、古い物件ほど設置率が低い傾向が顕著に現れた。オートロックについても築年数の若い物件ほど設置率が高く、築15年以下の物件では8割以上で設置されている。築5年超~30年の物件では、宅配ボックス未設置かつオートロック設置の物件が約2~3割を占めている。

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LIFULL HOME’S総研・中山登志朗氏は、オートロック導入は1980年代から進み、宅配ボックスは2000年代に入り普及を開始、金融危機後に広がったと指摘。その結果、約30年の設置ギャップが生じ、置き配対応には課題が残るとコメントする。
宅配ボックスの導入には1基あたり30~100万円のコストがかかり、賃貸オーナー側の導入には限界があるとされる。そのため、置き配不可物件の入居者には、コンビニ受取や駅設置の宅配ロッカー利用など、代替手段の活用が推奨される形となっている。