子供にとって、親の介護や相続は他人事ではありません。「いつ」「どこで」「どんなふうに」発生するかわからないため、早めに考えておきたいです。相続や介護と深い関りがあるのが住まいですが、持ち家をどうするかは簡単に決めることができません。

そこで親の持ち家についてどういった考えや選択肢があるのかご紹介したいと思います。

<住み続けることを希望する人が多い>

厚生労働省の「高齢社会に関する意識調査」によると高齢期に生活したい場所として自宅を選ぶ人の割合は72.2%に上りました。

最近では子供の独立後は利便性の高い都心のマンションに住替えを行う人も増えてましたし、サービス付高齢者向け賃貸住宅といった、比較的元気な高齢者のための賃貸住宅もあります。また、有料老人ホームに入居するという選択肢もありますね。

老後の住まいは好みに合わせて選ぶことができます。しかし現時点では、住み慣れた家と土地から離れたくないという人が主流といえそうです。

では、多数派である「自宅に住み続ける」という選択の効果や注意点とはどんなことなのでしょうか。

<「住みつづける」ための戦略>

自宅で元気に老後を過ごす可能性もありますが、いつどこで想定外の事態になるかわかりません。自宅に住み続けるために考えておきたい3つの備えをご紹介します。

1. 自宅のリフォームで老後に備える

バリアフリー化はもちろん、断熱性や耐震性の向上など、住み心地を高めるためのリフォームも検討しましょう。また、家が広い場合は減築も考えたいです。

2. 同居、二世帯住宅の可能性を探る

同居や二世帯住宅ができれば、親は心強いですし、子供も安心できるでしょう。相続面でも有利ですが、有利になるのは同居している子供のみのため、兄弟姉妹がいる場合は事前に話し合っておく必要があります。

3. 自宅にいながら受けられる介護サービスについて知る

居住環境を整えておくこととともに、万が一の際頼れるサービスにして調べておきたいです。子供の住まいが遠方であったり、働いている場合は情報が入りにくく、いざというときの対応が遅れる懸念もあります。情報収集に努めましょう。

家のリフォームは大なり小なり必要になってくることと推測します。必要に応じ、どの都度修繕やリフォームを行うのではなく、同居の可否も含めて長期的な視点で考えたいです。

<最後まで自宅に住み続けることはできるか?>

親が現在の家に住み続ける。それが第一希望でバリアフリー化や修繕をしたとしても、介護状態が進んだら同居が難しいこともあるでしょう。

また、元気に天寿をまっとうしたとしても、その後子供が住宅を引き継げないこともあるかもしれません。介護や相続が絡んでくるため、親の希望だけでは判断できないのが、親の住まいの難しい点です。

介護する側の事情や相続後の状況により、家を売却する可能性がゼロでない場合は、そこも親と話し合っておきたいです。

当初は親に、ずっと持ち家に住んでもらうつもりだったとしても、状況が急転し家に住み続けるのができなくなることもあります。

事前に了承や話し合いなしにそういった結果になると、双方にとって悔いがのこることにもなりかねないからです。

できるところまでは自宅で、どうしても無理、という時は施設やマンションへの住替えをする。場合によっては子供夫婦の家に同居するなど、さまざまな選択肢を提示し、親の意向を確認しておきたいです。

大事なのは、親の第一希望を叶えられなくなる瞬間が来るかもしれない、その時のために「次善の策」についても話し合うことだと考えます。

親が自宅に住むことを望むならば、子の多くはそれを叶えてあげたいと考えるでしょう。そのために居住環境の備えをしておく、という方は多いです。

しかし重い介護状態になった、夫婦のうち片方が亡くなったなど、どうしても居住を続けるのが難しい場合もあります。

さまざまな事態に対応できるよう、住み続けることを選択した時も、早期売却、賃貸貸出などの可能性を排除することなく話しあっておきたいです。

 
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