杉並区方南町にホラーと脱出ゲームを組み合わせたお化け屋敷がある。
「畏怖(いふ) 咽び家(むせびや)」という本当の古家を丸ごと使った新感覚のアトラクションだ。
仕掛けているのは、オバケン(方南町)というホラーアトラクションのプロデュース集団である。
この下町に突如出現したお化け屋敷を取材した。
「畏怖 咽び家」の外観 (画像=オバケン提供)
まず、「畏怖 咽び家」の設定を確認してみよう。
プレイヤーは、方南町で物件を探している一般人だ。ある時、格安の物件が見つかり、さっそく内見に行く。
しかし、その一軒家は殺人犯が巣食う家だった、という設定になっている。
早速、方南町の駅に到着する。
ここで、物件を管理するY澤不動産の社員(オバケンのスタッフ)と合流する。
「これって、怖いですか?」と聞いてみた。
「怖い?不動産の内見ですよ」と一蹴。
設定がしっかりしています!
私たち取材班2名と1組の男女(あわせて4人)が一緒に内見することになった。
お化け屋敷に向かう道中、女性が事細かに内容をしゃべってくる。
「いやぁ~、脱出系とか初めてなんですよね~」
「!」
ここに来るのは2回目らしい、「クリアしたいので頑張りましょう!」
プレッシャーをかけてきた。
さて、会場となる古家に到着すると、荷物を預け、いくつかの説明を受ける。
そして、中へ入っていく。
始めは、本当の内見のように、室内の説明を受ける。
次に、階段を登り、2階へ案内される。階段はギシギシと音を鳴らし、私たちの恐怖を煽る。
室内は薄暗く、ギリギリ見える程度だ。
窓はすべて、板で封じてある。
日当たりはゼロです。こんな家あるか!!
日当りゼロの真っ暗な部屋 (画像=オバケン提供)
内見を一通り終えると、ゲーム開始の合図となるイベントがある。
ハイ、殺人犯に見つかりました。
ここから、殺人犯との、かくれんぼのような、鬼ごっこのような、闇のゲームがスタートする。
閉じ込められる風呂場 (画像=オバケン提供)
殺人犯に見つかると、血まみれの風呂場へ連れていかれ、閉じ込められてしまう。
全員が脱出しないと、クリアにならないので、誰かが助けてくれる。
ちなみに4回ほど捕まってしまいました。
押し入れの中や物陰に隠れたりするが、いかんせん古家なので、床が抜けそうで怖かった。
ちなみに、襖を外してしまいました。
オバケンさんごめんなさい。
※すぐ、直しましたよ。
捕まっている間に、仲間が攻略し、見事脱出できた。
※私は、ずっと捕まっていたので、経過は全く知りません。
クリアした実感もありませんでした。
このお化け屋敷について、オバケンのホラープランナーである吉澤正悟さんにインタビューを行った。
ホラープランナーの吉澤正悟さん (画像=リビンマガジン編集部撮影)
—オバケンはどういった経緯で始まったのですか?
運営会社は映像制作を行っています。
突然、社長が方南町にある空き店舗を借りてきて「ここで、何か面白い事が出来ないか?」という話をされました。商店街に普通は無いものという発想と昔からホラーが好きで、映像制作で培った、小道具作成や照明、演出などの技術がお化け屋敷に生かせそうと思い始めました。
—今回のシーズン5「畏怖 咽び家」では、どうして古家を使ったお化け屋敷にされたのですか?
これも、社長から方南町で面白い物件があったからオバケンで使えないかと打診がありました。
オバケンのメンバーで下見をし、使えると思ったので、この古家を買い、今回の「咽び家」に至ります。
—この家は、そのままの状態で使っているのですか?
いえ、改修しています。
元々、今よりも草木が生い茂っていて、外壁も朽ち果てていたので直しています。
内装も部屋を分ける等お客様の動線を考えてリフォームしています。
—先日、「咽び家」の予約ページとして作られた「Y澤不動産」というサイトが「ありえない物件が揃う不動産サイト」としてバズってましたね。
あのサイトは、お化け屋敷に来ていただくお客様が来る前から楽しみにしてくれたらいいなという思いから面白半分で作りました。
本当は「咽び家」のホームページでストーリーを読んだ後に移動する仕組みになっています。
「Y澤不動産」だけ取り上げられてしまって…。
その後も、サイトに124万アクセスくらいあって、サーバーが落ちてしまいました。
でも、ありがたいことに知名度は上がりました。
—昨今、日本各地で空き家が増えていて、問題になっています。
古家を再利用した今回のお化け屋敷は、新しい古家再生法として、とてもユニークだと思いました。
そういうつもりで始めた訳ではないんですが、今ではこの「咽び家」のパッケージが全国各地に広がっていけば
良いなと考えています。もし、どこか面白そうな空き物件を知っている方いましたら割と真剣に考えておりますのでobaken.shomoji@gmail.comまで紹介していただきたいです(笑)
あとは、海外でもやってみたいですね。
—最後に、オバケンの今後の展開は。
もっと、大きな遊園地でも、全体を使ったお化け屋敷をやってみたいです。
また、このオバケンを通して、方南町を遊園地のような街にしたい、という思いをずっと持っています。
(取材を終えて)
大きな仕掛けはなくとも、世界観とストーリーがしっかりしているので、何度でも楽しめる。
仲間と協力しながら脱出できた時の喜びは一入だ。(リビンマガジン編集部)
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