民泊ブーム去りて残るものは…

画像=写真AC

新型コロナウィルス禍が長引くなかで不動産市場にも大きな変化があった。

なかでもホテルや旅館などの宿泊業は大打撃が続いている。

日本を代表する観光地の京都では、コロナ禍がおそった2020年以降で京町家を活用した宿泊施設ゲストハウスの廃業が相次いでいるという。京都市のホームページなどによると1000件以上が廃業しており、インバウンドブーム終了によるコントラストは鮮やかだ。

ブーム華やかなりしころの2018年ごろに、筆者が地元を取材した際には住宅地に急増する民泊に対する近隣住民の警戒心は強く。「民泊反対」、「民泊は出て行け」などのポスターが張り出されるなど、地域を上げての反民泊運動も激しかった。

夜中に騒ぎ、ゴミ出しマナーを守らない観光客に敵対心を露わにする住民の声もあちこちで聞かれたものだ。

一方で古い町家の保存につながり、旅慣れた上級者にも独自の宿泊体験は格別な需要があった。

また、既存不適格物件に類する町家での旅館業の許可判断は曖昧で、物件購入後に新規の許可が下りないなどの投資トラブルも聞かれたものである。

インバウンドブームを見越したホテル開業も相次いだため、21年のホテル稼働率は年間平均で31.1%(京都市観光協会発表)にまで落ち込んでいる。かつては80%以上もあったというから、比べることすらできない惨状だ。

「好事魔多し」と振り返る民泊投資家は、3年ぶりの行動制限のないお盆休みにも期待できないと語っており、しばらくコロナ関連融資で食いつなぐしかないと白旗を上げる寸前だ。

多くの民泊跡地が空き家となり、今度は防犯対策や自治会費減少が懸念されているという。

(取材・文 小野悠史)

 
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