タワーマンションや大豪邸より、縁遠い暮らしがある。都心一等地の高級ホテルで生活する、いわゆるホテル暮らしだ。いったいどれくらいの費用がかかるのだろうか。各ホテル関係者に聞いたら意外なことが分かった。
長期滞在は許可がないとダメ!?
花の都・東京ならば、高級をうたうホテルには事欠かないが伝統と格式を物差しにすれば、御三家・ホテルオークラ、帝国ホテル、ホテルニューオータニは外せないだろう。
しかし、意外なことにこの三巨頭とも、ホテル暮らしのような長期滞在は受け付けていないという。
帝国ホテル関係者が口を開く「以前はあったのですが、5-6年前から受け付けなくなりました。業界全体でも長期滞在できるホテルは減っているらしいです。理由は…なぜなんでしょう」と、やけに歯切れが悪いのが気になるが、とにかくホテル暮らし用のプランや料金などは用意されていないらしい。
しかし、何事も例外がある。滞在目的や期間、予算等を相談すれば、「許可」がおりることがあるという。しかしあくまで特例という位置付けだ。特別なコネでもない限りは御三家でのホテル暮らしは完全に夢になったということしい。
もしやれば家賃100万円越えのホテルも
では、1か月だけ夢をみるとしたら、いくら必要なのだろう。大人1人、1か月間生活することを想定し、御三家ホテルに価格を聞いた。価格が違うため、期間は2017年5月15日から1か月間とした。まずは風情あふれる日本庭園が特徴的なホテルニューオータニだ。
(噴水が目を引くホテルニューオータニ外観=編集部撮影)
ニューオータニでは、HPに記載されている1泊の価格に宿泊日数をかけた金額で生活できるという。4月4日現在、最安値の価格は19,300円、1か月滞在すると57万9,000円だ。
なお、会員特典を受けられるニューオータニクラブWに登録していると会員価格で利用できる。企業での登録も可能なため、個人で登録していなくても特典を受けられる人もいる。
次に本館の建て替え工事真っ只中のホテルオークラ関係者に聞いた。価格は日にちや予約状況によって変動するという。
28日前までに予約した場合、一番安価なスタンダードタイプの部屋は1泊4万円前後だ。1泊の価格に宿泊日数をかけた金額で長期滞在が可能で、1か月なら約120万円と大台越えだ。
最後は帝国ホテルだ。
1泊の料金は全期間固定で、最安値が44,000円。1か月の滞在では最低価格でも132万円となる。御三家の中でも最高価格になる。
ただ、帝国には他のホテルにない簡易キッチン付きの部屋があるのが特徴だ。コンロが2つに家庭用の冷蔵庫があり、ホテルでありながら自炊できる。外食ばかりだと疲れる人のためだろうか、特別仕様の部屋なのだ。極短期の利用もできるというが、1泊で10万円というから、ちょっと試しにというわけにもいかないのだが。
優雅な生活を送るには金がいる。
ということで、これまでどんな人が御三家ホテルの住人に名を連ねたのだろう。
噂を調べてみると、大学教授や銀幕スター俳優、女優など名が上がる。この辺のところ、どうなんでしょうと御三家の一つに聞いてみたが「長期滞在に関わらず、すべてのお客様をお守りするのが使命ですので、お答えいたしかねます」とピシャリ。
さすがの名門らしい対応だった。