講演する中城康彦教授(明海大学・不動産学部 学部長)

消費者知識の向上に寄与

日本でただ一つの不動産学部を持つ明海大学(千葉・浦安市)が10月20日に都内で市民講座を開催した。「基礎から学ぶマイホーム取得講座・安心して夢をかなえる勉強会」として、消費者に向けて正しい不動産知識の必要性を啓蒙していくのが狙いだ。日本の不動産市場・文化の成熟のための地道な活動を続けていく。

「住宅ローンを組むことで資産経営より先に負債を…」「不動産購入後に発覚する瑕疵(かし)の種類は…」住宅購入する前に知っておきたい知識について様々な角度から専門家が講演した。

会場では市民が真剣な表情で、メモを走らせていた。主催の明海大学によると、同様の講座は今年の春の開催に次いで2回目。千葉県内では12年前から取り組んでおり、好評を受けて都内での開催を始めた。
普段は学生たち向けに行う講義を一般向けに提供を始めたのは、消費者の知識向上が不可欠と実感しているからだという。
この日、住宅取得時に必要なチェック点について自身も講演をおこなった同大学の中城康彦学部長は「契約主体である消費者がもっともっと勉強する必要がある」と語る。

実際に、住宅購入は一生で何度もあるわけではなく、経験を積むのは難しい。それにも関わらず、土地や建物の見極めに加え、取引における法律や住宅ローンに関する金融知識など、求められるものは幅広く複雑だ。
同大学によると、この日の講演ではローン、トラブル、取得に関連する法知識、そして土地建物の構造と住宅を購入するまでに必要とされる基礎的な内容を網羅しようと務めたという。
住宅ローンについて講演した住宅金融支援機構の峰村英二氏は「返済期間が20年以上となると子育てや就業形態など大きな変化がある。10年後なら予想できても、そこまで考えられる人は少ないでしょう」と難しさを語る。
宅建業者に課せられる業法などはより複雑、高度になっている。一方で、消費者の知識は向上しないままだ。中城学部長は事業者と消費者の知識量の差は「アンバランスさは増している」と考えており、今後も地道な消費者教育が必要と考えている。

今回のイベントは平日の昼間の開催で、会場には空席が目立った。今後は、日時を週末に変更するなどして続け、来年春にも開催する予定だ。

 
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