みなさん、こんにちは。
「現役大家FP」の佐野です。
相続不動産の行方を考えるコラムの最終回(前回までをお読みになっていない方はコチラから)。相続不動産はどうするのが一番良いのでしょうか。
「誰に相談したらいいか分からない」と嘆く方は多いのですが、肝心なのは「誰に相談するか」よりも「自分がどうしたいか」です。「自分がどうしたいか」が決まれば自ずと相談相手は決まってくるのです。
例えば、受け継いだ土地を活用して収益物件を建てることを決めたのであれば、次は「どの建設会社がいいか」となるでしょう。逆に、土地を売って現金化することを決めたのであれば、「どの不動産業者に売ってもらうか」を考えれば良いのです。
「自分がどうしたいか」を決めずに業者にところに赴くと、これまで説明してきたように話は業者の“儲け”の方向にどんどん進んで行きます。それはもはや「相談」ではなく、業者によるただの「営業行為」です。
ただし、相続不動産を活用したほうが良いのか、それとも売却したほうが良いのかは非常に難しい問題です。その対象となる土地のポテンシャルはもちろん、相続する人とされる人の資産状況によっても大きく変わってきます。もちろん分割問題も影響しますし、利害関係だけではないその方の“想い”の部分もあるでしょう。
私がご相談を受けたお客様で、実際にこんなケースがありました。その方は相続で二つの土地を受け継いだのですが、結果としてはアパートが建築しやすい方の土地(=ポテンシャルの高い土地)に収益物件を建て、もう一つの土地を売却したのです。
土地の担保評価が高かったのでアパート建設費を全額ローンで賄ってレバレッジ効果を高める選択肢もありましたが、お客様との相談の上、売った土地の代金を建設費に充てて月々のキャッシュフローを多くする方法をとりました。そのお客様のご年齢と更に下の代への相続を考慮した結果です。
これが、建設業者の手にかかれば「両方の土地にアパートを建てましょう」ということになりますし、不動産業者に話をもっていけば「両方の土地を売りましょう」ということになります。彼らの利益が最大化する方向へ話が持っていかれるからです。
相続不動産を考える時、なにかと節税ばかりに目が行きがちです。そこを業者に上手く利用されて、結局は「負の遺産」を子供達に残してしまうケースは後を絶ちません。
不動産を“遺す”人も“遺される”人も、その家族にとって「何が一番いいのか」をしっかりと考えてみることが大切です。