―全国にどのくらいの月極駐車場があるのか、正確なデータはありませんね。そういったなかで集まるデータは貴重なものです。何か活用方法などはあるのでしょうか。

2020年9月には「at PARKING Rental Market」のベータ版を提供開始しました。

これは、駐車場の住所を入力すれば、周辺の賃料相場を算出できる機能です。一般ユーザーが利用するのではなく、「at PARKING 月極パートナーシステム」を導入いただいている管理会社に利用いただきます。今後もデータが蓄積されることで精度も上がっていくはずです。

―首都圏と地方で月極駐車場の賃料相場はどのくらい違うのでしょうか。

実は、地方だから極端に安いということはありません。月極駐車場は、商圏が半径300メートルだといわれています。皆さん、自宅や職場から歩いて5分圏内には駐車場が欲しいと思っています。地方であっても、駐車場の数が少なければ、周辺の何倍も高い価格で貸し出すことができる駐車場もあります。

ただ、これまでは周辺の駐車場の賃料相場を知らないので、感覚で値付けしているところが多かった。借りる方も周辺の比較がありませんでした。だから、物件ごとにかなり価格差があります。

こういったデータが集まれば適正価格が見えてくる。また、情報の非対称性がなくなればユーザーに選ばれるために工夫しなければいけない駐車場も出てくると思います。

また、駐車場のニーズが高い地域、例えば近くで大きなマンションが建ち急に駐車場の必要性が高まったのか、その駐車場だけ賃料が割安といったことも、データで分かるようになるでしょう。

―管理会社は、月極駐車場の実入りの少なさと業務負担からも、新しいものや変化することを受け入れにくかったということはありませんか。

当初は感じていました。「月極駐車場をポータルサイトに無料で掲載しませんか?」とお声掛けしてもなかなか受け入れていただけず、情報集めに苦労しましたからね。また、サービスの構想段階から非対面取引を推奨したかったのですが、管理会社もオーナーも「不動産取引は対面じゃないと心配だ」「会わずに契約した前例がない」ということもよく言われましたね。

しかし、ホテル業界などでは非対面での契約が増えていたので、「会うことを前提にしたビジネスモデルではマネタイズができない、ここは耐えろ」と社員たちにも理解を求め、会わずに取引できる方向に改良を加えていきました。

―月極駐車場は、不動産のなかでもいち早くオンライン完結している分野になったということですね。法制度の問題もありますが、今後は賃貸住宅や売買などにも広げていくといった構想もあるのでしょうか。

現時点では、構想はありません。

しかし、月極駐車場でできていることを管理会社やオーナーが分かれば、「次は住宅でもできるね」という流れが加速し、業界全体でIT化のきっかけを作ることが出来れば月極駐車場と賃貸住宅システムのデータ連携などの形で貢献できれば良いという考えでいます。

月極駐車場のデータベースができたらそれを活用して、管理会社やオーナーに次の収益化に繋がる新たな提案をしたいと思っています。

今後、MaaSなどで移動革命が起きたら、駐車場も変化しなければなりません。月極という駐車場の概念を超えたあり方を考えていかなければなりません。そのときに利用者のデータや周辺情報があれば月極駐車場の生み出す価値を変革することができる。管理会社、オーナー、利用者に喜ばれるサービスを常に提供し続けていきたいと考えています。

―将来の展望はありますか。

事業計画上、2021年には18万台、2022年には50万台、2023年に100万台が目標です。

当社推計では、全国で約3,000万台以上の月極駐車場がアナログなオフラインで管理されています。その貸し借り、解約含めてオンラインでできるように、数年で作り上げてしまうことが当面の目標だと思っています。

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