住宅建設業界広告宣伝費ランキング2023

上場住宅建設会社のうち、広告宣伝費を公開している23社(※)について、広告宣伝費が高い順にランキングしました。また、売上における広告宣伝費割合が高い会社トップ10や前年よりも上昇した会社トップ10もご紹介します。コロナ禍が収束する中、事業拡大のため広告宣伝費を増加させる企業と、円安や物価高騰などを不安視し広告宣伝費を削減する企業に分かれる結果となりました。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

画像=PIXTA

集計方法

  • 2022年3月期から2023年2月期までに公表された企業の有価証券報告書から集計
  • 「広告宣伝費」「販売促進費」のどちらか一方のみが明示されている場合はその数値を採用、両方表示されている場合は広告宣伝費のみを集計
  • 広告宣伝費・売上高の数値は、原則として100万円未満は切り捨てとしたが、広告宣伝費が100万円未満のケースのみ10万円まで表示した

1位大和ハウスは広告宣伝費を削減 大手も対応が分かれる結果に

順位 会社名 2023年2月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
2023年2月期
売上高
(百万円)
広告宣伝費率(%)
1 大和ハウス工業 25,820 28,507 4,439,536 0.6%
2 積水ハウス 23,326 23,616 2,928,835 0.8%
3 飯田グループホールディングス 13,957 13,489 1,386,991 1.0%

1位は去年と変わらず大和ハウス工業で、広告宣伝費は258億2,000万円となりました。大和ハウス工業は住宅メーカーの売上高も1位です。事業施設や所業施設など、ハウスメーカーの枠に収まらず幅広い事業を展開しています。

2位は積水ハウスで233億2,600万円です。積水ハウスは大空間リビング「ファミリースイート」を宣伝文句として、同社の住宅の快適さを体感できる展示場への集客を積極的に行っています。

3位は飯田グループホールディングスで139億5,700万円となりました。飯田グループHDは同社の住宅を購入または工事を発注した人を対象とした新生活サポートサービスサイト「すまいーだPLUS」を運営、顧客が住宅購入後も快適に生活できるようアフターサービスにも気を遣っています。

トップ3社までが広告宣伝費100億円以上となる状況は例年通りではあるものの、上位3社の広告宣伝費の取り扱いには差異が生じています。日本国内外でコロナ禍が収束に向かう中でも大和ハウス工業は広告宣伝費を前年比91%と一割近く削減、慎重な姿勢を崩していません。他方、積水ハウスは99%の微減、飯田グループHDは103%の増加となりました。

順位 会社名 2023年2月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
2023年2月期
売上高
(百万円)
広告宣伝費率(%)
4 タマホーム 9,833 7,900 240,760 4.1%
5 オープンハウスグループ 3,874 3431 952,686 0.4%
6 ナック 3,048 2,990 54,924 5.5%
7 レオパレス21 2,718 2,302 398,366 0.7%
8 長谷工コーポレーション 2,346 2,465 909,708 0.3%
9 サンヨーホームズ 1,363 1,655 51,123 2.7%
10 三栄建築設計 996 857 139,006 0.7%

売上における広告宣伝費率が高い企業トップ10

順位 会社名 広告宣伝費率(%) 2023年2月期
広告宣伝費
(百万円)
2023年2月期
売上高
(百万円)
1 ナック 5.5% 3,048 54,924
2 安江工務店 4.8% 339 7,046
3 ハウスフリーダム 4.6% 591 12,966
4 タマホーム 4.1% 9,833 240,760
5 Lib Work 2.8% 389 13,761
6 KHC 2.7% 324 11,888
7 サンヨーホームズ 2.7% 1,363 51,123
8 アールシーコア 2.5% 408 16,341
9 日本ハウスホールディングス 1.4% 615 42,778
10 グランディハウス 1.3% 732 54,884

1位は昨年に引き続きナックで、広告宣伝費は30億4,800万円、売上における広告宣伝費率は5.5%となりました。ナックは注文住宅の建築請負や分譲住宅の販売のほか、建築コンサルティング事業、モップなどのレンタルや宅配水の販売など、事業分野は多岐にわたります。昨年の広告宣伝費率とほぼ同じであり、同社の事業形態には適切な割合であると考えられます。

2位も去年と同じく安江工務店で、広告宣伝費率は4.8%となりました。23社全体の広告宣伝費割合の平均は1.7%で前年と変わりませんでした。今後は、コロナ禍収束による消費の回復という明るい要因と、物価高や円安というマイナス要因を天稟にかけるため、各企業の経営陣の広告宣伝費に関する判断がさらに分かれると考えられます。

前年比で広告宣伝費が増加した割合の高い企業トップ5

順位 会社名 広告宣伝費
前年比率(%)
2023年2月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
1 Lib Work 131.9% 389 295
2 タマホーム 124.5% 9,833 7,900
3 レオパレス21 118.1% 2,718 2,302
4 三栄建築設計 116.2% 996 857
5 グランディハウス 114.7% 732 638
6 日本ハウスホールディングス 114.3% 615 538
7 メルディアDC 113.8% 66 58
8 オープンハウスグループ 112.9% 3,874 3431
9 ハウスフリーダム 111.5% 591 530
10 アールシーコア 109.1% 408 374

前年比率で広告宣伝費を最も増やしたのはLib Workで、前年が2億9,500万円だったところ、今年は3億8,900万円となり、前年比132%となりました。同社はデジタル技術を活用し、土地情報サイトや戸建て関連サイトの運営、webマーケティングを利用した戸建住宅販売事業を展開しています。

同社は無印良品とコラボするなど積極的に事業を拡大しており、広告宣伝費もそれに従って増えたと考えられます。

住宅建設業界広告宣伝費ランキング11位~23位

順位 会社名 2023年2月期
広告宣伝費
(百万円)
前年
広告宣伝費
(百万円)
2023年2月期
売上高
(百万円)
広告宣伝費率(%)
11 ケイアイスター不動産 937 1145 184,388 0.5%
12 グランディハウス 732 638 54,884 1.3%
13 日本ハウスホールディングス 615 538 42,778 1.4%
14 ハウスフリーダム 591 530 12,966 4.6%
15 アールシーコア 408 374 16,341 2.5%
16 Lib Work 389 295 13,761 2.8%
17 安江工務店 339 324 7,046 4.8%
18 KHC 324 352 11,888 2.7%
19 フィット 70 66 7,186 1.0%
20 メルディアDC 66 58 31,482 0.2%
21 Robot Home 40 37 5,421 0.7%
22 エムビーエス 5 6 4,030 0.1%
23 サンユー建設 0.3 4 8,119 0.0%
 
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