不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2022年

不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2022年

上場している不動産企業113社（※）につき、従業員一人当たりの経常利益が高い順にランキング形式で紹介します。一人当たりの利益率の高さは、効率経営であることと同時に、コロナ禍でも高い利益率を出せる分野に取り組んでいることを意味しており、将来性が高い企業と言えます。（リビンマガジンBiz編集部）

※＝編集部基準

集計方法
・2021年6月期から2022年5月期までの最新の有価証券報告書を元に集計
・経常利益を従業員数で割り、従業員一人当たりの経常利益を算出
・非正規社員は対象外とした

画像＝写真AC

従業員一人当たり経常利益1億円超は3社　前年最下位のランドが1位　

1位はランドで、経常利益15億9,100万円に対して、従業員は9名、従業員一人当たりの経常利益が1億7,678万円でした。一昨年の調査で1位、昨年の調査では115社中115位で最下位だったところから、一気の首位返り咲きです。

同社はマンションやシニア住宅の開発、再生可能エネルギー関連投資事業、中古住宅のリノベーションなどを行っています。昨年はコロナ禍の影響で再生エネルギー関連投資事業が遅延したことにより、大きく経常損失を出してしまいましたが、元々は少数精鋭で業績良好の企業だったため、本来の順位に戻った形です。

参考サイト
「不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2021年」

2位はアルデプロで、経常利益23億9,100万円に対して、従業員数18名、従業員一人当たりの経常利益が1億3,283万円でした。昨年1位から順位は下がりましたが、昨年は1億3,067万円でしたので、数字自体はより良くなっています。

アルデプロは、都内の旧耐震基準のビルについて、借家人など利害関係人の権利関係の調整・整理を行い、取り壊すことを前提に開発素地としてデベロッパーに売却する再開発アジャストメント事業を手掛けています。また、中古のビル・商業施設等をバリューアップして販売する再活事業を行っています。

同社は、元々は再活事業がメインでしたが、都内には立て替えが必要なビルが多いことから、現在では再開発アジャストメント事業に注力しています。権利関係の調整は多数人の利害が絡むため、面倒が多く、こうした手間のかかる業務を率先して請け負う企業の需要は高いと想像されます。同社の業績は今後さらに伸びていくことでしょう。

3位はロードスターキャピタルで、経常利益53億2,700万円に対して、従業員数52名、従業員一人当たりの経常利益が1億244万円でした。このトップ3社までが従業員一人あたり経常利益1億円を超えています。

同社は東京都内の数億円～50億円程度の中規模オフィスビル等の中から、稼働率が低い物件や管理状態が良くない物件、権利関係が複雑な物件などを購入し、付加価値を高めて管理運営や売却などを行っています。2位の会社に続いて、管理や権利調整に手間のかかる物件を得意とする企業が高い従業員一人当たり経常利益を記録しました。

従業員一人当たり経常利益の平均は1,669万円で、昨年の1,068万円から大幅にアップしています。各社がコロナ禍による短期的なダメージから立ち直りつつあることが窺えます。今後は、長期化するコロナ禍を踏まえつつも将来性のある事業を展開している企業がさらに従業員一人当たり経常利益を伸ばしていくことでしょう。