不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2021年

不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2021年

上場している不動産企業115社（※）を、従業員一人当たりの経常利益が多い順にランキングしました。コロナ禍でランキングは去年から大きく変動しています。経常損失を出している企業もある中、利益率が高い水準を維持している会社を紹介します。（リビンマガジンBiz編集部）

※＝編集部基準

集計方法
・2020年6月期から2021年5月期までの最新の有価証券報告書を元に集計
・経常利益を従業員数で割り、従業員一人当たりの経常利益を算出
・非正規社員は対象外とした

画像＝Pixta

従業員一人当たり経常利益1億円超は2社　V字回復のアルデプロが1位　

1位はアルデプロで、経常利益23億5,200万円に対して、従業員数18名、従業員一人当たりの経常利益が1億3,067万円でした。アルデプロは、有効活用されていないビルやレジデンスなどの不動産を取得し、リフォームやバリューアップを行って販売する不動産再活事業を営んでいます。

アルデプロは過去三年間、経常損失を出しており、昨年度はマイナス18億8,861万円と苦しい経営を続けていました。しかし、今年は利益率の高い権利調整案件の売却が複数あり、かつ、コロナ禍の影響も軽微だったため、利益率が大幅に改善しています。

2位は昨年の調査でも2位だった京阪神ビルディングで、経常利益50億8,100万円に対し、従業員数は45名で、従業員一人当たり経常利益は1億1,046万円でした。同社は主にオフィスビルやデータセンタービル、場外馬券場などの賃貸や、建物の維持管理などを行っています。昨年の一人当たり経常利益が1億1,587万円でしたので、やや減少する結果となりましたが、引き続き並外れた安定感で高い利益率を維持しています。

昨年調査で1位だったランドは、今年はマイナス27億8,800万円という大幅な経常損失を出し、1人当たり経常利益がマイナス3億978万円で115社中最下位となってしまいました。

ランドは再生エネルギー関連投資事業において、コロナ禍の影響により、行政や事業関係者などの協議に大幅に時間を要したことにより、たな卸し資産評価損を計上しました。再生エネルギー事業がこれまで好調であっただけに、ダメージも大きかったようです。

参考サイト
「不動産業界　従業員一人あたり経常利益ランキング　2020年」

ランキング1～10位は以下のようになっています。
 

従業員一人当たり経常利益は、少人数の会社が上位に入る傾向がありますが、今年は5位～10位までの企業が従業員100名を超え、従業員数2,000名近いヒューリックが7位にランクインする結果となりました。コロナ禍による混乱の中では、まとまった従業員数のいる大企業のほうが、信頼性が高く利益率を維持しやすいのかもしれません。

昨年の従業員一人当たり経常利益の平均は1,548万円でしたが、今年は1,068万円と大幅に低下しており、コロナ禍が不動産業界に与えた影響の大きさがこの数字からもわかります。