上場している住宅建設会社 適時開示数ランキング2020年2月集計

上場している住宅建設会社31社(※)を対象として、2019年1月~2020年1月の過去1年間に開示された適時開示情報が多い会社をランキングしました。企業の業務や業績について、投資家にとって重要と思われる出来事が多いほど、適時開示情報が頻繁に発表されます。良いニュースも悪いニュースも含めて変化に富んだ2019年を送った企業をご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

画像=リビンマガジンBiz編集部

集計方法

・調査日:2020年2月2日

適時開示数40件以上の住宅建設会社は2社 30件以上の会社は7社

1位は大和ハウス工業で、適時開示数は1年間で49件でした。大和ハウス工業は大手住宅メーカーで、戸建てや賃貸、マンションのほか、ホテルやホームセンター、商業施設の建築も幅広く手掛けています。

大和ハウス工業は、2019年3月には中国の関連会社において約234億円に及ぶ巨額の横領事件が発生したほか、4月には戸建・賃貸共同住宅の建築基準不適合問題、さらには12月に、一部の社員が所定の実務経験を満たしていない状態で施工管理技士の資格を取得していたことが判明しました。同社はこれらの不祥事を受けてガバナンスの強化に取り組み、改革に取り組むなどしたため、報告のために多くの適時開示情報が発せられることになりました。

2位はレオパレス21で、過去一年の適時開示数は47件でした。レオパレス21は自社物件の賃貸・管理のほか、アパートなどの建築工事請負、介護施設「あずみ苑」の運営などを行っています。

同社は住宅建築業界を揺るがす施工不良問題発覚後、業績が悪化しています。また大株主である、投資家の村上世彰氏が関わるファンド「レノ」と取締役の選任や解任をめぐって対立しています。そうした不祥事や株主とのやりとりに関する報告のため、繰り返し適時開示が行われました。

残念ながら、上位2社は不正やトラブルの発覚と、それに対する事後対応や対策のためのレポートにより適時開示数が増える結果となってしまいました。

適時開示数が30件以上の会社は、以下の5社を含めた7社となっております。

上位企業のうち、3位のTATERUは、宅地の買主の資金力を示す証拠を改ざんして金融機関に提出し、不正に融資を受けさせ、宅建業法違反により業務停止処分を受けました。適時開示はこの不祥事に関するレポートが多くなっています。

その一方で、同率3位のファーストコーポレーションは、「投資者にとって投資魅力の高い会社」を構成銘柄とする「JPX 日経中小型株指数」に同社株式が選定されるなどの明るいニュースが含まれています。できれば2020年は、こうした明るい話題を提供する住宅メーカーが増えて欲しいものです。

調査した31社全体の過去1年間の適時開示数の平均は約20件でした。

住宅は市民の生活基盤であるとともに、近年増加している自然災害の際、生命を護る砦となります。それだけに住宅メーカーには、信頼できる建物を建築する技術とモラルが求められます。ランキング上位の会社だけではなく、他社も襟を正しての業務遂行がよりいっそう求められています。

上場している住宅建設会社 適時開示数ランキング2020年2月集計

集計方法

・調査日:2020年2月2日

・パナホーム、ミサワホーム、三井ホームは2019年に上場廃止している

 
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