売買契約に入れるべきローン特約とは
一軒家やマンションといった不動産の売買契約をおこなう際には、取引する金額も高額となるため銀行から融資を受けて購入する人がほとんどです。もちろんなかにはお金持ちもいて、すべて手持ちの現金で支払うという人も稀にいますが・・・そういったケースはごく一部。ほとんどのケースでは銀行でローンを組み購入する買い主が多いため、売買契約に『ローン特約』を盛り込むのが一般的です。ローン特約はどういったものかと言うと、もしも何らかの理由で銀行から融資が受けられなくなった場合、契約を白紙に戻せるといった特約です。このローン特約がなければ買い主がローンを組めなくなった場合に契約を白紙に戻すことが困難になり、買い主の意思でキャンセルしたわけではないのに、手付放棄などをせざるを得なくなってしまいます。
盛り込んでおきたいローン特約の内容とは
基本的には不動産を購入する側がローン特約の内容を設定します。契約書には『融資の承認が受けられなくなった場合には契約を解除できる』といった内容の文言となりますが、そのローン特約に必ず盛り込んでおきたい重要なポイントがあります。それは融資の申し込み先の候補を挙げておくこと。たとえば融資先も銀行だけではなく、勤め先の社内融資というパターンもあるでしょう。またひとえに銀行といっても、大手銀行から地方銀行に信用金庫までさまざま。もし契約書にローンの申込先を明記しておかなければ、たとえ融資が受けられなくても『他の銀行もあるからただちに”承認が得られない”とはならず、キャンセルはできない』などと言われてトラブルとなる場合も。そのため必ず売り主と買い主が確認できるように、融資先と候補を契約書に明記しておきましょう。またローン特約があると契約自体が不安定な状態になってしまうため、融資承認取得見込みの期日なども明記しておくことが大切です。
ローン特約は売主と買主にメリットが！
もしも融資が受けられなかった場合に契約を白紙に戻せるローン特約。一見すると買い主だけに利点があるように感じますが、もちろん売り主にもメリットがあります。それは通常の売買契約解除だと仲介手数料がかかってしまいますが、ローン特約でキャンセルとなった場合は原則として仲介手数料は不要です。またローン特約がないと買い主からすれば融資を見込んだ契約がリスクとなるため、現金のみの取引しかできなくなり、結果として物件の買い手が極めて限定される可能性が生じます。そもそも不動産の売却は買い手がいないとはじまらないので、そういった意味でもローン特約は売り主にとってメリットとなるのです。
