不動産売却で知っておくべき減価償却とは
不動産を売却する際の譲渡所得などの算出に必要になってくる、不動産の減価償却と呼ばれる会計処理があります。減価償却は「げんかしょうきゃく」と読み、専門用語のため聞きなれない人も多いのではないでしょうか。普通に生活しているなかであまり触れる機会のない言葉で、意味もなんだか難しいと思ってしまいがちですよね・・・。でも大丈夫!言葉は難しいですが、その意味はとても簡単。要は建物など徐々に価値が低下していく資産を購入した場合に、その代金を利用できる耐用年数に応じて計上するということ。いくつか計算法に種類があるのですが、たとえば定額法では3,000万円でマンションを購入した場合、耐用年数を50年間と仮定すると、『3,000万円÷50年間』となり年間60万円ずつ計上していきます。
減価償却の対象となる不動産とは
不動産を購入したり売却する際には確認しておくべき減価償却の知識。先に述べたように「徐々に価値が低下していく資産を購入した場合」に適用されるため、不動産を購入した際に支出した金額の全てが減価償却の対象にはなりません。代表的なものとして、朽ちていくものとは考えられない土地は減価償却資産に含まれません。土地は物価や相場によって価値は変動するものの、たしかに古くはならないですし、不動産として未来永劫に残るものですよね。あくまでも減価償却が使えるのは「建物など徐々に朽ちて価値を減らす資産のみ」です。
減価償却は何に使用する?
経過とともに朽ちていく建物などを対象とする減価償却。では、不動産の減価償却とは何に使用するのでしょうか。まず事業目的などで不動産を購入した場合の確定申告では、購入年に申告する経費は購入代金満額ではなく減価償却で算出した金額となります。これは例えば3,000万の不動産を事業目的で購入した場合に、購入代金満額を経費計上できるようにしていると、他で得られた利益をそこに使用することで利益を経費に変えて大幅に税を免れることができてしまい、税制が成り立たなくなってしまうなどの理由からです。他には不動産を売却する際には譲渡所得を計算しますが、その際にも減価償却を用います。たとえば課税譲渡所得の算出は簡単に言えば「不動産の譲渡価額-不動産の取得費-不動産の譲渡費」ですが、この取得費は土地建物の購入代金・リフォームの設備費などから建物の減価償却費を差し引いた金額となります。