暑い日が続くなか、ポーンとプールに飛び込みたい。
川のせせらぎで涼をとりたい。
いや、もう海ではっちゃけたい。
誰もがそう思いながら、蒸し暑い日本の夏を生きている。

そういった大衆の心理を反映しているわけではないが、いま空前の「深海ブーム」なのだという。「深海ブーム」涼しげでいいではないか。

東京・上野の国立科学博物館で開かれている特別展「深海2017」は、日本国内で開かれるものに限れば過去最大規模の深海についての展示会だ。


有人潜水調査船「しんかい6500」 (撮影=リビンマガジン編集部)

酷暑に嫌気がさし、深海に引っ越したい一心で出かけてみる。

会場について驚くのが、平日の午前中から凄い人出だ。深海ブームはどうやら本当らしい。

そもそも深海とは何メートルくらいの深さのことを指すのであろうか。

解説版によると、海洋生物学では200mより深いところを深海と呼ぶのだという。ここまでくれば光が届きにくくなり、サンゴなど植物が光合成できなくなるため住める魚も限られてくるわけだ。

駅から遠のけば住む人は減り、家賃は安くなるのと同じだろうか。

しかし深海の不便さは、駅遠物件とは桁違いだ!まずもって光が届かないから、暗い。そして冷たい。海水温は2℃…涼しいは、とっくに通り越している。


そんな中でもブームの火付け役となったダイオウイカや、5年間以上もの絶食を続けたダイオウグソクムシなど個性豊かな面々が暮らしている。

気になる深海での生活ぶりだが、場所は人類には遠いところ、まだまだ謎が多いという。

中でも食生活は謎だらけだ。というのも捕獲した海洋生物の胃には、ほとんど食べ物が残っていないのだという。これは引き揚げる際に、胃の内容物を吐き出してしまうからと予想されている。

暗いからか、やたら光る連中が多いのも特徴だ。

有名なチョウチンアンコウからホタルイカに始まりハゲタカイワシなどが続く。デメニギスなど、頭部を半透明なので光が目立つではないか。

ただ光るにしても、その理由はさまざまだ。

まずは餌をとるためだ。チョウチンアンコウがそれにあたる。

真っ暗な海の底で小さな魚を光に吸い寄せ、捕食するのだという。小魚関係者には光にはついて行かないよう意識を統一して欲しい。簡単に怪しい光りに寄っていっては、だめだろう。
だって、深海だぜ。

光を使って姿を隠す生き物もいる。ホタルイカもその一種だ。

深海にも太陽や月の光がわずかに届くが、光の波長の関係で青のみが届く。ディープ・ブルーのゆえんだ。
この青い光を自ら出すことによって、影を消すことで捕食者の目を逃れるという。

深海には岩場など隠れる場所が少ないため、逃げる側も必死なのだという。

やはり厳しい深海の生活環境だが、気に入って住んでいる連中もいる。


オンデンザメ (画像=リビンマガジン編集部)

それどころかエビに似た見た目のナンキョクオキアミは凄まじく繁栄しており、物質レベルでみれば地球上で最も成功した種類ともいわれる。

不人気立地でも自分にあえば、住めば都になるのだろうか。

【イベント情報】

~最深研究でせまる~“生命”と“地球”~
特別展「深海2017」-DEEP OCEAN-

会場:

国立科学博物館

場所:

東京都台東区上野公園7-20

開催期間:

2017年7月11日(火)~10月1日(日)

休刊日:

7月18日(火)・9月4日(月)、11日(月)、19日(火)

開館時間:

午前9時~午後5時(金・土曜日は午後8時まで)

※夏休み特別会館延長:8月13日(日)~20日(日)は午前9時~午後6時

ただし、8月18日(金)、19日(土)は午後8時まで

観覧料:

一般・大学生 1,600円

小・中・高校生 600円

金曜限定ペア得ナイト券 2,000円

 
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