今回は、当社でもよくある相談をご案内します。
すでに住宅ローン減税を受け取っている方が繰り上げ返済したい場合、どのような考え方で行えばよいのか、というお話です。

住宅ローン減税は、ご自身がローンを借りた年度月によって、条件が異なります。

身近な方から、よかれと思って「繰り上げ返済しないで減税を受け取った方がいい」とアドバイスされる例も多いようですが、必ずしもその人にとって得になっていないケースもあるようです。

まずは国税庁のホームページで、ご自身の住宅ローンがいつ時点のどのようなパターンで減税されるのかを確認してみましょう。
なお、住宅ローン減税の対象は「住居が建った時」ではなく、「住居に居住を開始した日」(通常は住民票を移した日を基準とする)が基になりますので、注意しましょう。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm

1.認定長期優良住宅か

まずは認定長期優良住宅か、そうでないかで、減税の限度額が変わります。
認定長期優良住宅に該当していた場合は、受け取る減税額が、該当していない住宅より1年あたり10万円多くなります。

今回は該当しないケースで考えてみます。

2.自分が該当する制度内容はどれか

自分が対象となる住宅ローン減税の期間と年間の限度額を確認してみましょう。
例をあげてみます。

居住開始日:平成21年1月1日から平成22年12月31日まで
対象期間:10年間
控除の金額1~10年目 年末残高等×1%
年間減税限度額50万円

居住が平成23年1月1日から平成23年12月31日までは年間限度額は40万円

平成24年1月1日から平成24年12月31日までは30万円、
平成25年1月1日から平成26年3月31日までだと20万円です。
平成26年4月1日から現在(平成29年2月)は、消費税8%で購入していれば「特定取得」に該当して40万円、それ以外の場合は20万円となっています。

これ以前の年度ですと、限度額と受取年数が選択性になっていたりしましたので、自分の選んだ制度を思い出してみましょう。

たとえば、平成28年3月に居住を始めたAさんが、平成26年1月に居住を始めたBさんが繰り上げ返済をしようとしているのを止めて、「年間40万円までの減税が受け取れるから繰り上げ返済したら損になるよ」、とアドバイスしてしまった場合、実際はBさんは年間20万円までしか減税を受け取ることができないため、繰り上げ返済の機会を逃して、結果的に多く利息を払うことになって損をすることになりますので、ご自身の対象金額を把握することが重要になります。

3.住宅ローン減税の対象になる残高とはどの部分か

まず、住宅ローン減税の基本的な適用要件を確認していきましょう。
住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(住宅の取得等の対価の額又は費用の額が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ないときは、その取得等の対価の額又は費用の額)を基に、居住の用に供した年分の計算方法により算出します。
つまり、住宅ローン減税の対象額は、「住宅の取得等の対価の額又は費用の額」、となります。

4.自分はそもそも限度額まで減税を受け取っているか

これも相談の中で多いのですが、自分が減税を全部受け取れているかどうかわからない、という場合です。
住宅ローン控除の減税の元になる、みなさんが払っている所得税や住民税というのは、所得から単純に計算しているわけではなく、様々な控除をした結果の税金になるため、正確には試算しずらいものです。

基本的な計算の仕方をご紹介します。

<住宅ローン減税額を確認する>
毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%

<所得税の計算>
「源泉徴収票」を見て頂き、「源泉徴収税額」を見てください。
この「源泉徴収税額」が「所得税」になります。

<住民税>
住民税から引く場合は、住宅ローン減税額が所得税額だけでは引ききれなかった場合に翌年の住民税から次の金額を限度に控除されます。
前年課税所得の7%、上限額が13.65万円となります。

住宅ローン減税額は、上記所得税と住民税を合わせた額が、年間の減税の上限額となります。

自分が受け取れる上限を超えている住宅ローン部分については、減税を受け取ることができないため、繰り上げ返済を行った方が、払う利息が減るので有利になります。

5.繰り上げ返済するのにお得なタイミング

住宅ローン減税は、毎年末の住宅ローン残高でみます。この場合の年末とは、確定申告で言う年末にあたりますので、「12月31日」のことです。
つまり、12月31日に最も残高が多い方が、減税として返ってくる金額も多いということです。

そして利息をなるべく少なくするためには、1月1日以降の早い時期に繰り上げ返済をするのが最も有利ということになります。

6.ざっくりと住宅ローン減税を計算したいなら

とりあえずざっくりとでも、住宅ローン減税を計算したいとのことでしたら、国土交通省の「すまい給付金」のホームページでシミュレーションをすることができます。
源泉徴収票や、確定申告をされた方は確定申告の控えなどを用意して、試算してみると、受取れる減税額が計算できますので、ぜひ使ってみてください。

住宅ローン減税とは 住宅ローン減税の手続き方法は
 
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