6月23日は警視庁が「木賃宿を『簡易旅館』と改称した日」だ。
木賃宿と書いて、キチンヤドと読む。
木賃宿とは安価で宿泊できる安宿を意味する言葉である。
江戸時代からあるもので、薪などの燃料代だけを支払い、食事は材料の調達からすべて自炊で行う「木賃」という宿泊形態があった。明治時代に入ると、素泊まりの安価な宿を意味する言葉に変わっていったという。
畳張りの簡素な部屋 (画像=写真ACより)
昭和に入ると、こうした安価な宿にも一定の清潔さや防犯を意識したものも出始めた。そうした宿の経営者らが、木賃と名が付いていると粗末な安宿というイメージがあり「営業上支障をきたす」と警視庁へ改名の申し入れをした。
申し入れを受けた警視庁は1931年の本日、木賃宿を簡易旅館と改称を発表した。
しかし、木賃宿がある場所の多くは日雇いの労働者が多いエリアにあり、ドヤ街などと呼ばれ宿の改称をしても、イメージは変わらなかったという。
このような宿泊施設は、旅館業法によって4種に分類されている。
ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の4つだ。
話題の民泊も、かつての木賃宿と同じ簡易宿所営業に分類される。実際に、民泊利用者の中には食材を持ち込んで自炊する人も多く、木賃宿に近い宿泊形態と言える。
これまでは都道府県知事に申請書を提出し、営業許可を受けなければいけなかったが、今月9日に住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)が成立。旅館業法にとらわれない宿泊事業を営業できるようになった。
各都道府県知事から認可を受けなくとも、民泊の届け出を出せば、営業が可能になる。
ただし、民泊新法の決まりとして、宿泊させる日数は1年間で180日以内と決まっている。
民泊新法は、早くて2018年1月から施工される予定だ。
民泊の様子 (画像=写真ACより)
この法律によって、民泊に関わるトラブルがなくなるわけではない。
木賃宿のように、粗末な宿という印象を持たせないためにも管理者や宿泊客のモラルが試される。