6月17日は「ウォータゲート事件が始まった」日だ。

純真無垢な青年が、図らずもアメリカの戦後史の象徴的な場面を駆け抜けていく、映画「フォレスト・ガンプ」。

トム・ハンクス演じる主人公フォレストはある日、ホワイトハウスを訪問する。卓球を通じて国交の無かった米国と中国とが交流する、いわゆるピンポン外交に米国代表選手として参加した功績を称えられたのだ。

ホテルに宿泊するフォレストは向かいのビル内で行われた盗聴現場を目撃してしまう。そのビルの名前はウォーターゲート・ビル….


ウォーターゲート・ビル (画像=iStockより)

歴史の節目となったその日は、1972年6月17日だった。

後に大統領を辞任にまで追い込むウォーターゲート事件はこの日に始まったのだった。

舞台となったウォーターゲート・ビルは、桜で有名なポトマック川沿いにある。オフィスビルの他に、ホテルやマンションなどを併設する複合施設として、昨年生まれ変わった。ホワイトハウスからもほど近い距離のここに、かつての共和党事務所が入っており、そこにニクソン政権の意を受けた5名が侵入し盗聴を企てた罪で逮捕されるのだ。

その後、この事件を巡る裁判の不審点に気づいたワシントンポスト紙の2名記者が中心となり、地道な取材を重ね大統領の事件もみ消しや証拠隠滅など、疑惑の全容を暴いていく。事件時にまだ20代だった2人の記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの姿は、後にローバト・レッドフォードとダスティン・ホフマンという2大スターを配役し映画化もされている。

現在の米国はまたも大統領の疑惑に揺れている。トランプ大統領の周辺に司直の手が迫っているとされ、かねてから噂されていたロシアとの深い関係を巡る「ロシア疑惑」は、45年前にニクソン大統領を辞任に追い込んだ事件から「ロシアゲート事件」と呼ぶメディアもある。

現在、メディアと大統領との関係はかつてないほど対立している。メディアの追及で、ウォーターゲート事件を記憶の彼方に消し去るほどの進展があるのだろうか。

ウォーターゲート・ビルは今もワシントンD.C.の中心施設として稼働中だ。

敬称略

リチャード・ニクソン元米大統領

 
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