今回は、一般社団法人かながわFP生活相談センター、代表理事の堀江雄二が担当します。

賃貸マンションへの投資は、本当に儲かるのか?
 公的借金(政府の財政赤字)の拡大が続いているため、将来貰える年金額が減ったり、受給年齢が遅くなるとの心配から、賃貸マンションに投資して老後の生活費を確保したいたいというご相談をよく受けます。また、所得の高い時に多額のローンを組んで賃貸マンションを購入すれば、賃貸収支がマイナスになり確定申告をすることで所得税が還付され節税になります、というセールストークもよく耳にします。これは本当でしょうか?

購入時期、売却時期を間違えると、大きな損が発生することもあります。
 不動産コンサルタントをしている立場でお恥ずかしいのですが、かつて私はサラリーマン時代にマンション投資で大きな損失を出した経験があります。
1980年後半~1990年代にかけての不動産大バブル時代に、フルローンに近い借金をし、中古マンションを2戸購入しました。その物件概要や賃貸及び売買収支は別紙の通りです。

 昭和62年と平成3年に夫々購入した物件を、平成7年に同時売却しました。両物件とも所有期間中の表面利回り(=賃貸収入÷購入価格)は4.5%程度にはなっていましたが賃貸収支はずっと赤字でした。その赤字により給与との損益通算で節税効果も生じましたが、当該期間中のキャッシュフローはマイナスが続きました。つまり、給与から持ち出しが続いていた訳です。
 
 平成7年になってもマンション市況の悪化が止まらなかったため、Aマンションで含み益があるうちに思い切って2物件同時に売却し、Aマンションの売却益とBマンションの売却損を相殺しました。それでも売却損が大きく、しかも所有期間中の賃貸収支も赤字だったので、トータルの損益は900万円を超すマイナスと、投資は大失敗に終わりました。

 もしローン金額を購入価格の50%以下に抑えるとか、全部自己資金で購入していればトータルの損益は+にできたかもしれません。それでも売買収支だけ見れば、800万円超の損失になりましたので、マンション投資では売買のタイミングがいかに重要か、お分かり頂けるのではないでしょうか。余談ですが不動産市況はその後も悪化し続け、当該2物件をそのまま所有していたとしたら、傷口(累計損失)は更に広がっていましたので、結果的に損切りは正解だったといえます。

投資用のマンションは、今は買い時ではなく売り時か?
 ひるがえって現在の不動産(マンション)市況を考えると、投資用マンションの所有者にとって今は売り時で、新たにマンション投資を考えている方には購入時期を延期すべきタイミングではないかと思われます。

 4月5日に国土交通省が発表した「不動産市場動向マンスリーレポート 平成29(2017)年3月」によれば、「不動産価格指数(住宅)」のマンション指数は2016年12月で128.0(2010年平均=100)と、46ヶ月連続して前年同月を上回っています。安倍政権が本格的にスタートした2013年の初頭に同指数は100前後でしたので、4年間で3割近く上昇したことになります。一方で最近の同指数の推移を見てみると、2016年9月に130を超えて直近のピークをつけて、わずかながら下落に転じています。

また、同レポートの「中古マンション市場の動向」で首都圏の成約価格の㎡単価を見ると、リーマンショック前の高値を付けた2008年1月に42~43万円/㎡だったものが、
2017年2月では50万円/㎡を超えています。

上記の現状と、住宅ローン金利はこれ以上下がりにくいレベルにまで到達し、今後は上昇する可能性が高いことを勘案すれば、マンション価格は頭打ちでむしろ下げる可能性が高いと考えるのが自然でしょう。

公的年金補完のための賃貸マンション投資は、しばらく様子見が賢明。
 老後の生活資金不足を補うために、早めに賃貸マンション投資をしたいという気持ちも判りますが、余り早い時期に購入すると老後になった時点で築年が古くなり過ぎて、思うような家賃収入が得られないこともあります。それ以上に急ぐあまり購入時期を間違えると、出口(売却)で大きなリスクを抱えかねません。少なくとも今金利が安いからと言って、無理して大きなローンを組み高値掴みすることがないよう、不動産市況や将来の賃貸需要動向をよく考えて慎重に対応されることが重要と思われます。

 <物件概要及び総合損益>

Aマンション Bマンション
築年数 昭和59年3月 昭和62年2月
所在地

横浜市内の私鉄駅・徒歩2分

横浜市内の私鉄駅・徒歩8分
階数 4/6階 6/7階
面積 62.08平方メートル 40.59平方メートル
向き 南西 西
売主 大手デベロッパーT社 大手デベロッパーN社
購入時期 昭和62年3月 平成3年9月
購入金額 32,300千円 32,151千円
売却時期        平成7年6月 平成7年5月

売却金額 32,400千円 21,400千円
取得原価 28,213千円 32,151千円
譲渡費用 1,108千円 432千円
売却損益 3,079千円 ▼11,183千円
実質収支 ▼3,293千円 ▼479千円

 

▲8,104千円
売却損の節税効果
2,700千円(*当時は不動産の譲渡損を損益通算できた)

 売買損益
▲8,104千円

 売却損の節税効果      2,700千円

合計          ▲9,176千円

 
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