「親や祖父といった親族が年老いて判断能力が不安。怪しい契約を結んでしまいそうで心配・・・。」、「体調が悪いからこれからの資産管理をどうしたらいいか分からない」という悩みを持つ人も居るのではないでしょうか。
しかし、基本的に「契約」とは個人の自由であり、寝たきりの重病人でもアルツハイマーを患っている方でも高額の契約を結ぶことが可能です。
けれど、加齢や病気などで判断能力が衰えることもあり、そんな人々に付け込んだ輩が少なからず存在していることも事実。特に、不必要な高額改修工事を強引に契約させる「リフォーム詐欺」や、家や土地を担保に高額商品を押し付ける詐欺なども多く、消費者被害が後を絶ちません。
判断能力が不安な家族の判断を代理で行えるようにする制度が「成年後見人制度」。
成年後見人制度とは、請求を受けた家庭裁判所が責任能力が低いと判断された人に対し、保護者を付ける制度です。
保護者は、当事者である「成年被後見人」が行った契約を取り消したり、代理人として契約を結べます。日常生活の中で必要な契約は、生活に支障をきたしてはならないため成年被後見人本人が行うことも可能。
契約に対して大きな権限を持つ「法定後見」と、判断能力が衰えた将来や判断がしにくい高度な契約を結ぶときのことを考えて置くサポート的な「任意後見」の2パターンがあります。
特に「法定後見」は個人の権限を制約したり権限を代行したり、通帳や印鑑、キャッシュカード、有価証券、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類なども預かることが可能な訳ですから、判断は慎重に行われます。申請者本人が成年後見人になれず第三者と契約を結ばなければならかったり、申請から判断まで半年以上の期間を有したりする場合も。
強大な権限であるからこそ、成年被見人からの横領などといった犯罪行為が行われる危険性もあります。
成年後見制度への申立ては家庭裁判所へ行います。
申し立てには、「申立書」「成年被後見人の戸籍謄本」「成年被後見人と成年後見候補者の住民票もしくは戸籍の附票」「家庭裁判所指定様式の診断書」「被後見人の成年後見などに関した登記がされていないと証明できる書類」「通帳の写しや不動産登記事項証明書など財産に関する書類」、といった書類が必要です。
申立て・登記手数料や通信費、収入印紙費用などで1万円~2万円ていどの費用が掛かります。
ほかにも、「精神疾患」などを理由に成年後見制度へ申立てするには、別途5万円~10万円ていどの精神鑑定費用も掛かります。
また、申立てを行うプロの弁護士・司法書士に依頼すると申立ては簡単ですが20万円~40万円ていどの費用が必要。
親しい人の判断能力が不安になった際、大事な不動産などの財産を守るためにも「成年後見人制度」の利用という選択も防衛手段の一つです。