売却までの流れの中で、買い付けが入ったなどの進展があった場合には、仲介業者と話を詰めていくことになります。
これについて、つい先日、私に実際にあったエピソードをご紹介します。
こちらは京都の区分物件で、立地が京都の中では最良の立地にあり、築年数も結構新しく、毎月のキャッシュフローもフルローンでかなり出ている物件なので、私にとって、赤字になってまで売却する理由はありませんでした。
価格として、具体的には、仲介手数料などの諸費用を支払った後の手残りで1,240万円残るのが、この物件の損益分岐点でした。しかし、今回入った買い付けの価格では、仲介手数料などの諸費用が通常通りにかかったとして、手残りが約1,180万円。当然、私はこの価格では赤字になるので売却しないので、買い付けの価格を引き上げをしていただく等の検討を依頼しました。
その仲介業者から、これ以上の買い上がり等は難しいとの回答でしたので、私は売却しないという判断を伝えましたが、そのときに「京都は今、相場が爆下がりだから、赤字でも絶対売っておいたほうがいいですよ。」「私やったら赤字でも絶対売りますよ。」「今売っとかなヤバいですよ。」
明らかにオーバートーク気味な営業トークが始まりました。
さらには、今回の購入希望者の意図について尋ねたところ、その人は転売目的で購入したいとの回答でした。
私から「あれ?転売目的ってことは、それ以上の価格で買い取る先があるってことですよね?」と尋ねたところ、「その人はたまたまそうですね。」
ちょっと苦しい営業トークでした。
仲介業者は、売買が成立しなければ仲介手数料が発生しないので、両者がどんな条件でも関係なく、とにかく売買を成立させたいのです。私はこの物件を売却することによって自分の融資枠を調整したいという気持ちが少なからず存在したのは事実なので、損益分岐点を明確に設定していた場合ですら、上記の営業トークによって、正直、心が少し揺らいでしまったのが事実です。
このことを踏まえて、各物件の損益分岐点を冷静に見つめた上で、合理的に、売却の判断をするようにしてください。