平成バブル期には、有り余る資金を投入して、多種多様なマンションが作られた。

5万棟のマンションカタログを所有するSD建築企画研究所(東京)清水修司代表のコレクションの中から、バブルマンションを紹介する。今回は連載第1回につづきアート性の高いカタログが作成された「ペアシティ サガン東北沢」を取り上げる。

 (リビンマガジンBiz編集部)

マンション名:ペアシティ サガン(東北沢)

竣工:1988年5月

場所:東京都世田谷区北沢

最寄り駅:小田急東北沢駅 徒歩1分

建物:5階

総戸数:6戸

開発:東高ハウス

施工:竹中工務店

30年を経ても高級感は別格のバブルマンション

閑静な住宅街にたたずむ、白亜の豪邸。ベタな惹句そのままの高級マンションである。

居室である全6戸は3LDK~4LDKで136.25㎡~143.43㎡の広さ。

販売時の価格は最も安い部屋で5億9000万円、最上階が最高値6億8500万円だ。マンションのある高級住宅地のなかでも、頭一つ抜けた価格だ。

外壁は欧州産のタイルを用いており、竣工から30年たった現在でも、一目でわかる高級感がある。

画像=リビンマガジンBiz編集部が撮影

カタログにはなぜかヌード写真

画像=リビンマガジンBiz編集部 (一部を加工しました) 

カタログも高級感を重視していて、写真集のような仕上がりになっている。

竣工した1988年は、バブル真っ只中のころ。

カタログ撮影ように起用するモデルに費用をかけることも珍しくはなかった。しかし、「ペアシティ サガン」ほどモデルに焦点を当てたものは珍しい。

そうなぜか、カタログにはヌード写真が多数使われているのだ。

ヌードといっても、カタログはモノクローム写真で構成されており、どギツさやいやらしさは皆無。シーツに絡まる女性の身体乳首やウエストをアーティスティックに写した作品ばかり。女性のきめ細かな肌の質感がよくわかるように、印刷にもこだわっている。

しかし、建物とは全く関係ないアート写真がなぜ使われたのか。

「デベロッパーの社長がアート好きで、こだわったのだろうね」(清水修司氏)

実はこのデベロッパーは、連載第一回でもとりあげたピュアシティミューゼと同じだ。ミューゼはロビーなどに高級絵画などが展示さて、画廊として個展を開けるほどの設備があった。

サガンでもアートの要素を盛り込むために、カタログが作品化したのではないだろうか。

販売している部屋数が少ないため、それほど多くのカタログが大量に必要だったとは思えない。やはりデベロッパー側の美意識が作らせた代物だろう。

画像=リビンマガジンBiz編集部

画像=リビンマガジンBiz編集部

画像=リビンマガジンBiz編集部


※取材協力

清水 修司(しみず しゅうじ)

SD建築企画研究所 代表


 
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