直接、今回の税制改正に関係するものではないのですが、広大地評価についてもう少しお話させていただきたいと思います。
広大地評価で問題になるのは、広大地評価の適用要件のみならず(もっとも今回の税制改正で適用要件の問題はかなりの部分で解消されるものと期待しておりますが)評価単位の問題が挙げられます。
相続税の財産評価基本通達において、土地の評価は利用者単位で評価するものとされています。
たとえば、一つの広い敷地に居住用の自宅と商売用の店舗が別々に建てられていた場合、敷地は父親の甲さんが所有しているとして
①住居も店舗も甲さんが所有し甲さんが使用の場合は敷地の全体を一体評価
②住居は甲さん所有、店舗は長男乙さん所有(土地は使用貸借で使用)の場合は敷地の全体は一体評価(使用貸借は乙さんの権利が存在せず自用地評価)
③住居は甲さん所有、店舗は長男乙さん所有(土地は賃貸借で使用)の場合は敷地の住居部分と店舗部分は分けて評価(賃貸借は乙さんの権利が存在している)
上記は、ほんの一例ですが、このように相続税の土地の評価において、この評価単位の考え方は重要なポイントとなってきます。
広大地の評価において、この評価単位の考え方の影響は面積要件に関わってきます。
一評価単位で、三大都市圏の場合で500㎡の用件を満たさなければならないからです。
500㎡の自宅の敷地に、庭が余ってもったいないと月極めで近所の方に駐車場で貸し出すと広大地の面積要件が満たされなくなる等の問題が生じてきます。
このあたりの適用要件は変えようもないと思われますので、おそらくは従来通りの考え方でよろしいのかなと想像はしています。
ただ、広い敷地にアパートが数棟建っている場合で、その数棟のアパートの全てを施工会社が一括借上でサブリース契約をしていたときは、これは一人の利用者が一体で利用していることなので一体評価となるはずですが、この解釈については裁決で、例え、一つの業者と一括で賃貸借契約を締結していたとしても貸家建付地はそのアパートごとに評価すべきとされたケースがあります。
これは、いざ、売却となった時にはアパートごとの売買は可能であるとか、その他のいろいろな理由でこのような判断がされました。
このような判断基準は、当然ながら条文にも通達にも記載はなく、判例等を調べて確認していくほかは手立てはありません。
また、何故、駄目なのか、その理由が明確といえば、その個別案件ごとの条件による判断であることはゆがめないでしょう。
どこまでが認められて、どこからが否認されてしまうのか、その判断が本当に難しいものと言われています。
このたびの税制改正で、どこまで適用される用件を明確にしてくるのか?
その動向次第で、相続時精算課税での広大地の生前贈与を考えていくべきでしょう。
とにかく、分かりやすく簡便な判断ができる改正であることに期待です。