今では当たり前になった「二世帯住宅」はどんな経緯で生まれ、歴史をたどってきたのでしょうか。今回はそんな二世帯住宅のこれまでの歩みを解きながら、現代における役割を紹介していきましょう。
二世帯住宅とは?
二世帯住宅とは1つの建物に親夫婦と子供夫婦の2世帯の家族が世帯を別にして住む住宅スタイルです。世帯ごとのライフスタイルに合わせて台所・浴室・トイレ・玄関といった設備全てを共用するタイプや別にするタイプ、階で完全に分けて住むタイプなど様々な間取りやパターンがあります。
元々はハウスメーカーの「へーベルハウス」が1975年に発売したのが起源です。
そんな二世帯住宅はどういった経緯で生まれたのでしょうか?
二世帯住宅の誕生には「核家族化」と「バブル期の土地価格の高騰」が大きく影響していました。
「核家族化」によって生まれた「二世帯住宅」
1975年に二世帯住宅が生まれた背景として、夫婦+子供の「核家族化」が急速に進行したことが挙げられます。1960年代までは、サザエさんのように親夫婦と子供夫婦で一つの家に暮らすことが当たり前でしたが、70年代に入ってからは親夫婦と子供夫婦が別々に暮らすことが増え、夫婦+子供の3人(4人)で暮らす核家族が急速に増えました。このような家族形態の変化によって、親世帯が子と生計を分けるようになり、新しい暮らし方として二世帯住宅が誕生したというわけです。
「バブル期の土地価格の高騰」によって定着した「二世帯住宅」
75年に産声を上げた二世帯住宅は1980年代の後半から、一般化します。その背景として「バブル期の土地価格の高騰」が挙げられるでしょう。
当時は首都圏を中心に土地価格が高騰し、土地付き一戸建てを購入することはほぼ不可能でした。その状況下で「親の土地に住むか」「長距離通勤を強いられるか」という選択を迫られた多くの人が親と同じ世帯に住むことを選び、二世帯住宅が急速に普及していったのです。
現代家族のライフスタイルに合った「二世帯住宅」
では、とうの昔にバブルが終わり、土地価格も落ち着いてきた今でも二世帯住宅で暮らす人が多くいるのはなぜなのでしょうか?
その背景として「親世代の高齢化」と「共働き核家族の増加」が挙げられるでしょう。
1980年ごろから増え始め、今では専業主婦世帯の数を大きく上回っている共働き世帯の登場により、両親が仕事に行っている間は子供の面倒を親夫婦が見るといった二世帯住宅ならではのライフスタイルが広く受け入れられるようになりました。
また、親世代の高齢化も二世帯住宅が支持される大きな理由です。介護と仕事を両立させることができるため、両世代とも安心して暮らすことができます。
こういった現代家族のライフスタイルやニーズにぴったり合った二世帯住宅は今後も進化しながら多くの人に受け入れられていくでしょう。