左から)エプソン販売 豊田誠取締役マーケティング本部長、栗林治夫代表取締役社長、森ビル・山本栄三タウンマネジメント事業部メディア事業企画部部長 撮影=取材班

9月25日、エプソン販売(東京都新宿区)は麻布台ヒルズで環境の取り組み発表会を開催した。同社が7月に森ビル(東京都港区)が運営する麻布台ヒルズのコラボレーションパートナーに参画したことを受け、両社が連携して進める環境負荷低減活動について説明した。

エプソン販売・取締役マーケティング本部長の豊田誠氏が最新の環境意識調査結果を報告。従業員数500名以上の企業に勤務する会社員1323名を対象に実施した調査では、2019年の前回調査と比較して、全項目で環境配慮への意識が10ポイント以上上昇した。特に製造業では20ポイント以上の大幅な増加が見られた。

エプソン販売 豊田誠取締役マーケティング本部長 撮影=取材班

環境負荷低減活動の目的についても変化が見られた。2019年調査ではコスト削減が圧倒的多数を占めていたが、今回は「企業の当然の義務」「社内外へのアピール」「企業イメージ向上」といった回答が増加し、環境対応が経営戦略の一環として位置づけられている実態が明らかになった。一方で、課題として「専門知識を持つ人材の不足」が新たに浮上した。豊田氏は「エコバディスなどのサステナビリティ評価に関する相談が前年度比で2倍に増加している」と説明し、同社では専門部署を立ち上げて対応していることを明らかにした。

ペーパーレス化については、多くの企業で推進されている一方、公務や自治体では進んでいない現状が報告された。消極的な理由として「紙の方が実際に読みやすい」「社内規則で紙が必要」といった声が挙がっている。豊田氏は「紙が一定量残る現場において、乾式オフィス製紙機『PaperLab』の活用が有用な選択肢になる」と指摘。紙をなくすのではなく、資源として循環させる新しいペーパーレスの形を提案した。

麻布台ビルズに導入された乾式オフィス製紙機「PaperLab」 撮影=取材班

森ビル・タウンマネジメント事業部メディア事業企画部部長の山本栄三氏は、8月から乾式オフィス製紙機「PaperLab」を導入した効果について説明。不動産業界では法的書類や契約書など、紙文化が根強く残っている現状がある中、同機では1日700枚の紙を再生しているという。

森ビル・山本栄三タウンマネジメント事業部メディア事業企画部部長 撮影=取材班

社員へのアンケート調査では、約8割が「紙資源の循環意識が高まった」と回答。山本氏は「オフィス内で再生過程が見える化されたことで、シュレッダー後の紙をゴミではなく資源として認識するようになった」と語った。また、同様に約8割が「会社への愛着や誇りが高まった」と回答し、環境配慮の取り組みが従業員のエンゲージメント向上にもつながっているようだ。

エプソン販売 栗林治夫代表取締役社長 撮影=取材班

今後の展望として、山本氏は「麻布台ヒルズのオフィステナント企業にも導入を呼びかけ、街全体での資源循環型都市づくりを推進したい」と述べた。豊田氏も「グリーン&ウェルネスのまちづくりに貢献し、紙の柔らかさや温かさを通じて環境意識が自然と向上する文化を醸成したい」と意欲を示した。エプソン販売代表取締役社長の栗林治夫氏は、今年6月にエプソンブランド制定50周年を迎えたことに触れ、「次の50年に向けて、お客様の期待を超える感動を提供していく」と語り、森ビルとの協業を象徴的な機会と位置づけた。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ