LIFULL、おとり物件撲滅で賃貸大手レオパレスと連携開始

LIFULL(東京都千代田区)は、運営する「LIFULL HOME’S」において、募集終了物件の自動非掲載システムにレオパレス21(東京都中野区)を新たに加えたと発表した。これにより、情報連携している管理会社の対象戸数は約278万戸に拡大し、全国の賃貸管理物件約1,174万戸の約24%をカバーする規模となった。

画像=プレスリリースより
今回の連携により、レオパレス21が管理する約54万戸の物件情報が対象に加わった。同社は国内29㎡以下の借家数で約9.2%のシェアを持つ。契約済み物件の情報をLIFULL HOME’Sが自動検知し、掲載を取り下げる仕組みを導入することで、利用者がより正確な物件情報にアクセスできるようになる。
賃貸物件検索において「おとり物件」は長年の業界課題となっている。LIFULL独自の調査では、賃貸物件を探した経験者の67.6%がおとり物件に遭遇したと回答。近年は悪質な架空物件よりも、契約済み物件の掲載取り下げが遅れることによる「意図しないおとり物件」が主な問題となっている。
物件情報の更新には複数の関係者が関わるため、確認から最新情報への更新までにタイムラグが生じやすい。各不動産会社の個別対応では限界があることから、管理会社、仲介会社、ポータルサイトが連携した業界横断的な取り組みが求められていた。
LIFULLはおとり物件対策として複数の

画像=プレスリリースより
技術的アプローチを展開している。2019年に業界初となる不動産管理会社との情報連携を開始し、2024年度は2021年度比で約9.6倍の募集終了物件を非掲載処理をしたという。
同社が開発した「メンテナンス見える化ツール」は今年5月に特許を取得。同じ物件を複数の不動産会社が掲載している際、一定割合の会社が非掲載に変更した場合に「契約済みの可能性がある物件」として他社に通知する機能を提供している。
また、独自開発のAIシステムによるおとり物件の自動検知・非掲載処理も1月から本格運用を開始。検知精度は87%に達している。
LIFULL HOME’S事業本部 物件情報精度責任者の宮廻優子氏は「物件情報の正確性は業界全体の健全な発展に直結する重要なテーマ」とコメント。今後も不動産会社各社や業界団体との連携を通じて標準化を見据えた取り組みを推進する方針を示している。
同社はこれまでに大東建託パートナーズをはじめとする複数の管理会社との連携を順次拡大してきた。業界全体での物件情報の透明性向上により、消費者が安心して住まい探しを行える環境整備を目指している。
不動産業界のデジタル化が進む中、おとり物件問題の解決に向けた技術的アプローチと業界連携の重要性が改めて注目される取り組みとなっている。