最近のジャニーズ事務所の動向から、経済や経営を学べるって知ってました?

滝沢秀明氏(40)ことタッキーがジャニーズ事務所副社長を辞したことをめぐり、連日、報道が続いていることは、日経新聞を読まない君たちだからこそよく知っていると思います。ゴシップに事欠かないジャニーズ事務所ですが、実は今の経済を理解する上でとても良いケーススタディでもあるんです。というわけで今回は、ジャニーズ事務所の問題について考えてみたいと思います。

画像=PIXTA

 

ジャニー喜多川氏(故人)こと「ジャニーさん」が1975年に立ち上げたジャニーズ事務所は、郷ひろみさんに始まり、光GENJI、SMAP、嵐まで、実に50年近くにわたって新しいタレントを芸能界に送り出してきました。

 

芸能界にジャニーズ王国を築いてきたジャニーズ事務所。しかし、不穏な動きが見え始めます。最も印象深いのは、2016年のSMAP解散でしょう。日本を代表するアイドルグループが十分な説明もないままに解散させられた一連の出来事は、世間を驚かせました。

 

背景には、ジャニーさんの姉で当時副社長だったメリー喜多川氏の娘の藤島ジュリー景子氏とSMAPのチーフマネージャーだった飯島三智氏の対立があったなどと週刊誌は書いていましたが、本当のことはわかりません。

 

2019年7月にジャニーさんが亡くなったあと、ジャニーズ事務所の社長に就いたのは、藤島ジュリー景子氏でした。そして人気タレントだった滝沢秀明氏(40)が副社長として若手タレントの育成にあたる体制になったわけです。

 

しかし、この頃からジャニーズ事務所はタレントの流出が続くことになります。錦戸亮さん(19年9月)、手越祐也さん(20年6月)、山下智久さん(20年10月)、長瀬智也さん(21年3月)など人気タレントが相次いで退所しました。また嵐(20年12月)、V6解散(21年11月)など人気グループが活動休止や解散を発表します。

 

何かタガが外れてしまったように見えるジャニーズ事務所。そしてついに、ジャニーさんから後を託されたと見られていたタッキーが事務所を去ってしまいました。タッキー退所のニュースは、King&Princeのメンバー3人の脱退・退所と重なったこともあり、大々的に報じられることになりました。

 

一連のジャニーズ問題から見える現在の経済的なトピックの一つは、タレントの独立問題です。

 

芸能界は今、タレントが事務所から独立する動きが相次いでいます。テレビや映画など活躍の場が限定されていた時代とは異なり、現在はYouTubeなど活躍できる場が広がりました。才能とアイデアがあるタレントならば独立を考えてもおかしくない時代です。

 

そしてこうした独立の動きは、カリスマ経営者が去った後に立て続けに起きやすい傾向があります。お世話になった人がいなくなった事務所に残り続ける義理はないということでしょう。「全日本国民的美少女コンテスト」で数々の美人女優を発掘してきたオスカープロモーションも、そうした独立騒動が起きた例の一つと言えそうです。創業者である古賀誠一氏(80)が2020年に社長を退いて会長に就任すると、米倉涼子さんや剛力彩芽さんなど、有名タレントが相次いで独立を発表しました。

 

カリスマ経営者の引退はとても難しいんです。それこそが、ジャニーズ問題から見えるもう一つの経済的なトピックです。

 

創業者社長の引退に伴い、家族間で揉め事が起き、最終的に会社自体が消滅してしまった例があります。たとえば大塚家具です。創業者の大塚勝久氏(79)と長女の久美子氏(54)が経営をめぐって対立し、結局、父・勝久氏は2015年に大塚家具を去ることに。しかし久美子社長が率いる大塚家具の業績は低迷を続け、最終的にヤマダホールディングス(HD)に子会社化されました。そして2022年5月、ヤマダHD傘下のヤマダデンキが大塚家具を吸収合併されることに。今も大塚家具の店舗やブランドは残っていますが、会社としての大塚家具はもうありません。

 

子への世襲ではなく、外部から優秀な後継者を迎えればいいかというと、それも簡単ではないことがわかるのが、日本電産の例です。日本電産は永守重信会長CEO(78)が創業した総合モータメーカーで、2021年に日産自動車出身の関潤氏(61)を後継者として社長CEOに据えました。しかし結局、永守氏が2022年に社長CEOに復帰。実は、日本電産は関氏の前にも日産から来た吉本浩之氏を社長に据えた後に降格させているので、2人連続で社長を実質的にクビにしたことになります。

 

「ユニクロ」のファーストリテイリングも、柳井正会長兼社長(73)が2002年に玉塚元一氏(60)に社長職を譲りましたが、3年後に柳井氏が社長職に復帰しています。

 

いずれの場合も、会社経営の手腕はずば抜けているけれど、後継者の育成は十分にできていないことが共通しています。

 

少し視点を変えてみてみましょう。ジャニーズ事務所は、創業家が多くの株式を持ち、会社を支配するいわゆる同族企業です。同族経営の会社は、次の社長を一族の中から輩出しがちですが、長く続く企業を見てみると、そうではないケースも結構あるんです。

 

例えば、日本で最も有名な同族経営企業のトヨタ自動車は、現在は創業家の豊田章男氏(66)が社長ですが、実は1995年から2009年までは創業家以外の一般社員出身の人が社長を務めていました。

 

サントリーも鳥井家と佐治家による同族経営で有名ですが、2014年にサントリーHDの社長にプロ経営者の新浪剛史氏(63)を迎えています。HDの会長には佐治家の佐治信忠氏(76)がいたり、副社長には鳥居家の鳥井信宏氏(56)がいたりと創業家が脇を固めつつ、社長は外部の人に任せているわけです。

 

経営に正解はありませんが、一つ言えるのは、人が会社を作るということ。タッキーという優秀なプロデューサーを失ったジャニーズ事務所はどこへ向かうのでしょうか。

 
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