在位70年のエリザベス女王についてわかりやすく紹介


「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。 (リビンマガジンBiz編集部)

画像=Pixabay

みなさんこんにちは。日経新聞を読んでいなくても、イギリスのエリザベス女王が96歳で亡くなったのはご存知ですよね。日本でも大きく報道されています。在位70年。まさに20世紀の激動の歴史とともに生きた女王陛下について、今回はポイントを整理していきましょう。

エリザベス女王ことエリザベス2世は、1926年4月、ヨーク公アルバート王子(後の国王ジョージ6世)の第一子としてイギリスに生まれました。1952年、ジョージ6世の死去に伴い、25歳で即位しました。ちなみに、イギリスだけでなく、豪州、ニュージランド、カナダなど全15カ国の国家元首でもありました。

エリザベス女王は政治との距離を置いてきましたので、その役割は、国民の精神的なよりどころといったところでしょうか。女王はイギリスの国家元首で、紙幣や硬貨、切手も女王が印字されています。イギリスの国歌「God Save the Queen」も、エリザベス女王が王位に着く前は「God Save the King」だったものが、Queenに置き換えられました。市民にとっては身近な存在と言えるのではいでしょうか。

そんなエリザベス女王が模索してきたのが、開かれた王室のあり方でした。1996年にダイアナ元妃が交通事故で亡くなり、彼女への対応が冷淡だとして英王室が大きく批判されたのを機に、開かれた王室のあり方が加速してきた面があるようです。国民とのふれあいの機会を増やし、最近はSNSを使って公務の様子を積極的に発信しています。海外のセレブ関係のニュースを見ていると、イギリスのロイヤルファミリーの話題も多く取り上げられていて、非常に人気が高いことがわかります。

しかし、長男のチャールズ皇太子(新国王)は国民から人気の高いダイアナ元妃と結婚しながら、不倫の果てに離婚・再婚。次男のアンドルー王子は女性への性的暴行疑惑で訴追され(その後和解)、孫のヘンリー王子夫妻は王室を離脱し、イギリスを去りました。ロイヤルファミリーなのに、時にぐだぐだ。それでも人気と支持を保ち続けてきたのは、君主として献身的な女王が中心にいたから。そして開かれた王室を進めることで、国民との精神的な距離を縮めてきたか、と言えそうです。

開かれた王室というイギリス王室のあり方は、イギリスという国の存在感を維持する意味でも、大きく貢献してきたといえるかもしれません。

 


画像=イギリス王室の公式Instagram

歴史の授業を思い出してみてください。イギリスはかつて、「パクス・ブリタニカ」と呼ばれ、世界に君臨した時期がありましたよね。産業革命以降、経済力と海軍力を背景に、大英帝国は大きく繁栄しました。しかしこれは主に19世紀のこと。一般的に、第一次世界大戦でこのパクス・ブリタニカは終わります。エリザベス2世が王位についたのは1926年、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期で、つまり、大英帝国の黄昏(たそがれ)の時期に女王になったわけです。エリザベス女王の時代は、イギリスが政治・経済の面で相対的に力を失い、代わってアメリカが世界の派遣国として幅を利かせていく時代でした。その中で、開かれたロイヤルファミリーとして世界に情報を発信して、主に文化的な側面からイギリスの存在感を示すことになりました。

さて、チャールズ新国王(チャールズ3世、73歳)はエリザベス女王が築いてきた英国王室の知名度とイメージをさらに育てていくことができるでしょうか。1981年にダイアナ元妃と結婚した当時はダイアナ人気もあって世界に祝福されましたが、その後、現在の夫人であるカミラさんとの不倫関係が続いていたことが明るみに出てからは、人気は大きく低迷しました。現在も、長男のウィリアム皇太子とキャサリン妃の方が人気が高いくらいです。

とつぜんBBCの天気予報でお天気キャスターをしてみたり、お茶目でユーモアあふれる面がある一方、政治的な発言をして「おせっかいな皇太子」と言われたりするなど、実はチャールズ新国王は良くも悪くもキャラが強め。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を支持していることで知られ、2015年に中国の習近平国家主席がイギリスを訪れた時には晩さん会を欠席するなど、外交面でも態度をはっきりさせてきました。政治とは距離を置いてきたエリザベス女王とはまた違った英国王室の時代が始まろうとしているのかもしれません。

 
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