新車より中古車価格が高くなるメカニズムをわかりやすく解説

「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。 (リビンマガジンBiz編集部)

 

 

画像=写真AC

こんにちは。日経新聞を読んでいない君たちも、中古車の価格が高騰していることは知っていますよね。新車よりも価格が高い場合もあるそうで、なんだか異常事態です。なぜでしょうか。

中古車の価格が上がっている理由、それは一言で言うと、新車が不足しているためです。自動車はコロナ禍でサプライチェーンが混乱したことなどによって半導体が不足した影響から、生産台数が減り、新車の納車が遅れています。塗料や部品など、半導体以外のパーツも足りないようで、自動車生産の回復の目処は立っていません。

そんな中、新車の納車に数カ月かかるのはザラで、人気車種になると数年かかることも。7月にはトヨタ自動車の人気車種「ランドクルーザー300」が受注停止になったことで話題になりました。2021年8月の国内発売以降、納期の長さが話題になっていたのですが、ついに納期を停止しました。駆け込みで購入の契約ができた人も、納車まで4年ほどかかるなんて話があります。さらに、販売時に、転売しないことを約束させる誓約書にサインを求めているとも言われています。異例づくしの状況です。

しかし、世の中にはすぐに車が必要なひともいます。そこで、早く車を手に入れたい、という人は中古車を買い求めることになります。安いから中古車を求めるのではなく、とにかく車を手に入れるために中古車を買うわけですね。こうして中古車の需要が拡大し、価格が上がっているというわけです。一方で、こんな状況なので、車を売って新車を買う人が減るため、中古車市場に車が出回りにくくなり、需給が逼迫(ひっぱく)して値上がりしやすくなるという循環に陥っています。

中有古車販売大手のユー・エス・エスの発表によると、同社の2022年6月の成約車両単価は107万9000円で、前年比で25.5%の値上がりでした。読売新聞によると、1999年4月以降、過去最高の価格だそうです。ユー・エス・エスの成約車両単価は、2020年6月以降、前年を上回る数字が続いており、6月まで25カ月連続で前年比で値上がりしています。しかも、2020年10月以降は2桁増です。異常な値上がりが続いていることがわかります。

こうした国内要因に加えて、円安が進んだことで、海外の買い手が日本の中古車オークションに参加するようになり、それも中古車価格が値上がりする要因になっているようです。

値上がりを招く特殊な要因もあります。アメリカは中古車の輸入に厳しい制限を課している国なのですが、製造から25年経過すると、規制が緩くなり、輸入しやすくなります。右ハンドルの日本車をアメリカに輸出できるようになる、と言えば分かりやすいでしょうか。この「25年ルール」、1989年発売の日産「スカイラインGT-R(R32型)」が25年経過した2014年に話題になったので、車好きな人は覚えているかもしれません。

アメリカではゲーム「グランツーリスモ」や映画「ワイルド・スピード」などの影響もあって、古い日本のスポーツカーが一部の愛好家たちの間で人気です。そうした中で、近年は日本の中古スポーツカーがアメリカにどんどん輸出されるようになっていて、中古車価格全体を押し上げる要因になっているとみられています。

さて、異常な値上がりが続く中古車市場ですが、車がどうしても必要な人はどうすればいいでしょうか。残念ながら、新車の生産回復の目処が立たない中では、早めに購入の検討を始めるしかなさそうです。

 
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