海外逃亡中とされるガーシーが選挙当選で逮捕されなくなるかもしれないのはなぜ?

「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。 (リビンマガジンBiz編集部)

 

画像=ガーシーこと東谷義和氏・ガーシーチャンネル(東谷義和)Instagramより

 

こんにちは。日経を読まない君たちでも、先日の参院選で「暴露系Youtuber」のガーシーこと東谷義和さんがNHK党の比例区から出馬して初当選したことはご存知ですよね。新聞を読まないからこそ、むしろよく知っていると思います。ガーシーが国会議員になる。そこで気になるのが、ガーシーの行方です。帰国すると逮捕されるおそれがあるとして、海外から動画配信を行ってきたガーシーですが、国会議員になったらどうなるのでしょうか。

ガーシーこと東谷義和さんは、もともと飲食店や芸能事務所を経営する経営者で、芸能関係者と広く交友関係を築いてきました。一般には知名度がなかったガーシーですが、人気YouTuberのヒカルさんがガーシーの詐欺行為を告発したことで、注目されるようになります。人気アイドルグループのBTSに会わせるといって、複数の女性からお金を集め、約束を実行しなかったという内容でした。この告発を機に、ガーシーはドバイに逃亡。詐欺行為が表沙汰になったガーシーから、周囲の芸能人や芸能関係者が離れていったそうで、そこからガーシーは交友のあった芸能人の裏の顔をYouTubeで次々と暴露しはじめました。

人気者の暴露ネタを繰り披露して100万人を超えるチャンネル登録者を集め、一躍有名人となったガーシーに、NHK党の立花孝志党首が出馬を打診したという流れです。ガーシーは、警察の手から逃れるために海外逃亡中のまま、選挙期間中もオンラインの演説などで支持者を集め、国会議員に当選しました。

 

 

ガーシー当選で逮捕を免れるかもしれないのはなぜ?

さて、参議院議員に当選したガーシーは今後、どうなるのでしょうか。報道によると、秋の臨時国会をめどに帰国を検討するようです。国会に欠席し続ければ、NHK党に投票した有権者の期待を裏切ることになり、議員としての責任を果たしていないことになるので、帰国はやむを得ないでしょう。国会法でも、議員は国会に参加しないままでいると懲罰委員会にかけられ、「除名」などの懲罰を受ける可能性があると定めています。

ここでキーワードになるのが、国会議員の不逮捕特権です。ガーシー本人は、出馬の動機の一つに国会議員の不逮捕特権を挙げていました。国会議員には、国会会期中は原則的に逮捕されないという特権があります。現行犯の場合と、参議院が認めた場合は逮捕される可能性があるとの例外はありますが、ガーシーの詐欺問題はこの例外には当たらないとみられています。また、2020年に河井克行元法相と妻の案里元参院議員が逮捕されましたが、これは国会が閉会した翌日に逮捕されました。国会の会期が終わると当然、この特権はなくなるわけです。

ガーシーは、詐欺の被害者に対してお金を弁済したと発表していますが、詐欺の疑いがかけられ海外逃亡していた人が、国会議員になったからといって不逮捕特権を利用して帰国するというのは納得がいかない人もいるかもしれません。

なぜ、国会議員は逮捕されないという特権が認められているのでしょうか。これは三権分立に関わる話なんです。三権分立というのは、国の権力を行政権(内閣・政府)、司法権(裁判所)、立法権(国会)の3つに分けて、それぞれが独立し、相互に抑制しあって権力の濫用を防ぐための仕組みです。

逮捕する警察や検察は「行政権」、逮捕令状を出すのは「司法権」です。国会議員の不逮捕特権は、国会議員が行政、司法の妨害を受けずに、自由に議員活動を行なうためにあります。憲法では、国会会期前に逮捕された場合でも、議員の要求があれば回帰中は釈放されるとも定めていて、それだけ国会議員の活動を強く保障するルールになっているんですね。この不逮捕特権が認められているのは国会議員だけで、地方議員にはこの特権はありません。

ガーシーは「国会で寝ている議員をたたき起こしてやる」「俺にしかできないことをやる」と議員として前向きに活動する旨の発言をしています。不逮捕特権を活用するだけでなく、有権者を裏切らない議員としての活動に期待したいところです。

 
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