サッカー代表戦、ボクシング世界戦、天心…スポーツ中継が有料化

画像=写真AC

みなさんこんにちは。今回は日経新聞を読まない君たちの方が詳しそうな話題でいきたいと思います。スポーツ中継問題です。スポーツ中継は誰もが無料楽しめる、テレビが主流でしたが、最近は有料の動画配信サービスへと主戦場を移しつつあります。興業主にとっては新たな資金調達の手段になっているようですが、中継を見ることができない層が出てきてしまうのもまた事実。ファンを増やす機会も減りそうです。スポーツは誰のものか?考えていきましょう。

テレビから動画配信へ。視聴者の「テレビ離れ」が進み、ウェブ動画や配信へと移る流れが今も続いています。そのひとつが、サッカー・ワールドカップ(W杯)。かつては地上波のテレビ放送でみることが出来ましたが、2022年のカタール大会(本大会)はNHKと民放テレビ局とともに、サイバーエージェントのネットテレビ「ABEMA」(アベマ)でも放送されます。

カタール大会の放映権獲得では、アベマが重要な役割を果たしたと言われています。これまでサッカーW杯の放映権の交渉は、電通が国際サッカー連盟(FIFA)と、NHKと民放の連合の間に入る形で行われてきました。しかし、22年カタール大会(本大会)については、複数のテレビ局が交渉から撤退し、金額面で折り合いがつかず難航したと伝えられています。そこで、テレビ朝日と資本関係のあるアベマが名乗りを上げ、NHKと複数の民放局とともに放映権を購入したんです。

金額で折り合いがつかなかった理由の一つは、放映権の高額化です。朝日新聞によると、「NHKが単独で購入した98年フランス大会の国内放送権料は5億5千万円だったが、来年のカタール大会に向けて今回電通がJCに示した金額は200億円を超えたという」とのことで、いくつかのテレビ局はこの金額では採算が合わないと判断したのでしょう。またこの放映権交渉の段階では、日本の本戦進出が決まっていないどころか危ぶまれていた状況だったため、放送局が二の足を踏んだ部分もあったとみられます。

いずれにせよ、サッカーW杯や五輪は放映権料の高騰が続いてきたために、テレビ局1局ではとうてい購入できない金額になっています。それで、連合を組んで買っているわけですが、それでも厳しくなってきたということです。

テレビ局が放映権の獲得に苦しむ背景には、広告費の減少という事情もありそうです。電通の「日本の広告費」によると、広告費(媒体費+製作費)をみてみると、テレビは緩やかな右肩下がりが続き、かたやネットは右肩上がり。2019年にはついに逆転しました。いまやテレビよりもネットの方が広告費が大きくなっているんですね。民放テレビ局は広告収入が減れば番組の制作予算も少なくなるので、スポーツ中継の放映権獲得も厳しくなっていきます。

ネットの放送局がサッカーW杯の放映権獲得に名乗りをあげるのは時代の流れと言えそうですが、もっとも、アベマもスマホゲームの「ウマ娘 プリティーダービー」などゲーム事業で稼いでいることを考えると、ゲームで稼いだお金で放映権を買ったと考えるのが妥当かもしれません。

スポーツ中継といえば定額制動画配信「DAZN(ダゾーン)」が今年2月、月額料金を約1000円値上げして3000円にしたことも話題になりましたが、視聴者がスポーツ中継を観るためのコストの値上がりが続いています。

果たして…スポーツ中継はみんなで観るものではなくなったのでしょうか。

 
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