経団連とは…実はよく知らない人へ

「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。今回は、ニュースで耳にする経団連について。 (リビンマガジンBiz編集部)

画像=Pixta

こんにちは。日経新聞を読まない君は知らないかもしれませんが、経団連の中西宏明前会長が亡くなりました。中西さんは日立製作所の社長、会長を務め、2018年からは経団連の会長となして活躍した人物です。

ところで、そもそも経団連って何でしょうか。経団連の会長が「財界総理」なんて呼ばれることがあるのはなぜでしょうか。もはや「財界」という言葉自体が古くさくなりつつありますが、経団連はそれでも、日本の産業界を代表する団体ではあります。今回はあらためて、経団連とは何か、キホンをおさえてみましょう。

経団連の正式名称は、日本経済団体連合会です。ホームページによると、「日本の代表的な企業1461社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体」で構成されています。トヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャルグループ、日立製作所、ソニーなど日本を代表する企業が加盟しています。不動産の分野では、大和ハウス工業などのハウスメーカーや三井不動産などのデベロッパーなどが加盟しています。

経団連の基本的な役割は、企業など産業界の意見を取りまとめて、政治や行政に働きかけることです。また、企業向けの取りまとめ役として、就職活動の解禁日を定めたりもしています。

ちなみに産業界の団体はいろいろありまして、その中でも主要な三つが「経済三団体」と呼ばれています。一つは経団連。もう一つは中小企業が中心の日本商工会議所、もう一つは経営者個人が参加する経済同友会です。この経済三団体の中でも、大企業が参加し、最も強い発言力を持つのが経団連です。

経団連はどのようにして財界を代表する団体になったのか。簡単に歴史を振り返ってみましょう。経団連の発足は戦後すぐの1946年。その後の高度経済成長期、製造業を中心に日本企業が急成長を遂げる中、経団連は自民党への献金を通じて、政治との結びつきを強めていきました。この頃に長期間会長を務めた東芝社長の石坂泰三氏は「財界総理」と呼ばれ、総理大臣と並ぶほどに大きな影響力を持っていたことで知られています。2002年には加盟企業が重複する日経連と統合しました。

経団連について知っておくと、それっぽく振る舞えるネタといえば、会長の人事でしょう。経団連って、企業の売上高とか、時価総額とか、そういった企業の規模の大きさで会長を選ぶということはありません。

実は、経団連の会長は伝統的に製造業の社長経験者が多いという特徴があります。これまでに会長を輩出した企業は、東芝、新日鐵、東京電力、トヨタ自動車、キヤノン、住友化学、東レ、日立。基本的に、三井、三菱、住友など財閥系の企業の出身者はいません(例外的に、住友化学だけが財閥系ですね)。そして、銀行などの金融機関も、経団連会長を出していません。これは、財閥や銀行などのグループが牛耳っていた戦前の財界とは一線を画して、戦後日本の成長を牽引してきた独立系の製造業の企業を中心に財界を盛り上げていこうという心意気みたいなものが根底にあったのではないかと思います。

いわば、戦後日本、あるいは20世紀の日本の経済成長を象徴する存在だった経団連。しかし、日本経済の変化とともに、影響力が低下しつつあります。「財界総理」なんて言葉、新聞や雑誌でくらいしかもはや見かけません。そもそも、現在の製造業の社長は、サラリーマン社長で、かつてのように自由で闊達な発言をする名物経営者は見かけなくなり、経団連会長といっても、いまいち印象が薄いですよね。

そうした中で経団連の新しい方向性を打ち出すのではないかと期待されたのが、中西前会長でした。中西前会長は経団連の改革に取り組みました。2018年に経団連の規定を緩和して、入会の資格を純資産額10億円以上から、1億円以上に緩和したのもその一つです。

しかし、大企業、製造業がハバを効かせる経団連はもはや「古臭い」存在であり、加盟のハードルを下げたことに対しては「入る意味があるのか」と冷ややかに見る経営者もいます。

そもそも、現在の日本を代表する企業である「ユニクロ」のファーストリテイリングは経団連に加盟していませんし、楽天の三木谷浩史社長にいたっては、2011年に経団連を退会して新経済連盟(新経連)という新しい団体を立ち上げ、ネット企業を中心に独自の政策提言を行っています。

経団連って、たまにニュースで耳にするので影響力のある団体に見えますが、いまやその動向を気にかけているのは、政治家と新聞記者くらいではないでしょうか。

 
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