世界中で日本だけがデフレ進行中 激安国家になりつつある

「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。今回は、デフレについて学びます。実は日本が世界的な激安国になりつつあるの、知っていましたか? (リビンマガジンBiz編集部)

画像=Pixabay

こんにちは。日経新聞を読んでいない君は知らないと思いますが、ユニクロは4月の売り上げが好調で、前年同月比84.5%増加だったそうです。昨年の4月といえば、ちょうどコロナ禍が始まったところで、財布のヒモがかたくなり始めていた時期でもあるので、比較をしても仕方がないかもしれません。でも、それだけではなく、今年の3月にユニクロが実質約9%値下げしたことも、売り上げを後押ししているような気がします。そう、安くなったからユニクロに行こうか、そんな心理が働いたような気がしませんか?

というわけで、今回はモノの価格が安い状態が続く「物価の低迷」を考えてみましょう。アメリカと欧州の一部の先進国では、コロナワクチンの接種が拡大し、消費が戻り始めているそうで、物価も上昇の兆しが見え始めています。かたや日本は、3月の消費者物価指数は前年同月比マイナス0.2%。世界の中で、日本だけが「デフレ」に舞い戻るのではないかと心配されています。

消費者にとって、モノやサービスの価格が安いのはありがたいことです。できる限り高品質の商品を、安く手に入れる。これが消費者の基本的な姿勢で、特にこの20年間は「コスパ」が重視されてきました。しかし、マクロ経済的には、この状態が長く続くとマズいことになると考えられています。それってどういうことでしょうか。特に都心部の地価や不動産の価格はこの数年上昇を続けてきたので、不動産業界で働くみなさんはピンとこないかもしれませんが、モノの価格が下がり続けて困ったことになっている現状をあらためて確認してみましょう。

さてここでいくつか専門用語を振り返りながら、物価やデフレについておさらいしてみます。物価は、モノやサービスの価格のことで、具体的には総務省が発表している消費者物価指数(英語で略すとCPIといいます)が一般的なモノサシとして使われています。先程、少し触れましたが、二本のCPIは今、下がる傾向にあります。

デフレーション(略してデフレ)とは何かというと、物価が継続的に下がり続ける状態です。その反対がインフレーション(略してインフレ)です。日本は1990年代前半のバブル崩壊前までは物価が上がり続けるインフレの時期が続きましたが、バブル崩壊を経て、1990年代後半からデフレに突入しました。景気が後退して、消費者の財布のヒモが固くなって買い控えたり、格安商品が人気を集めたりした時代です。この頃に、ユニクロやニトリ、ダイソーのような企業が成長してきました。

このデフレは、2012年末以降、第2次安倍政権による「アベノミクス」によって一応、終わりを告げます。国によると、2001年から2012年までがデフレだったことになっています。でも、デフレが終わっても、物価が継続的に上昇するインフレになる様子はありません。アベノミクスと歩調を合わせて金融緩和政策をしてきた日銀は、安定的に物価が2%上昇していく状態を目指していますが、その目標は未だ達成していないどころか、コロナで再びデフレに舞い戻る可能性すら出てきているわけです。

デフレ、あるいは物価の長期低迷がなぜ困ったことなのか、ちょっと考えてみましょう。デフレと言われてきた時期に何が起きてきたかというと、「先行きが不安なので買い物をしない、あるいはできる限り安いものを買う」という行動をみんながとったことで、企業の売り上げが下がり、そこで働く人の給料も伸び悩む(最悪の場合は給料が下がる、倒産する)、給料が下がったからさらに財布の紐を固くする……という悪循環が生まれました。この悪循環は「デフレスパイラル」と呼ばれることもあります。こうなってしまうと、経済は縮小の一途を辿ることになります。つまり、経済成長には適度なインフレが望ましくて、日本経済が成長軌道に戻るためには、このデフレの悪循環から抜け出さなければならないということです。

どうすればいいのか、そもそもなんでこんなことになったのか、については、この20年、30年の間にさまざまな議論があり、対策としてアベノミクスのような政策も登場しました。しかし、明確な効果がないまま、今に至っています。

消費者としては、モノの価格が上がるよりも、安いままの方がいいので、物価低迷が将来への不安につながるなんて考える人は少なく、この問題が大きな話題になることは少なかったかもしれません。しかし問題は、この20年間、日本経済が足踏みをしている間に諸外国はそれなりに成長を遂げてきたという事実があります。特に東南アジアなどの新興国は、めきめきと経済成長を遂げ、給料もあがってきました。欧米の先進国だって、上昇率はそこまで大きくありませんが、日本よりは物価も給料も上がってきているんです。そして日本は、世界の中でも相対的に給料が安い国になりつつあります。それでも今はまだ、新興国に比べれば物価も給料も高めの、豊かな国ではあります。しかし、この状態が続くと、気がついた時には世界の中でも相対的に貧しい国になっているかもしれません。

さてこの問題、この20年間の政治と企業活動の中心だった世代には解決ができませんでした。若いみなさんはこの問題をどう捉え、どう対処していきますか。

 
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